(未公開)青い性/処女喪失 PREMIERS DÉSIRS
(未公開)ATTENTION, UNE FEMME PEUT EN CACHER UNE AUTRE!

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:ピーター・ナイト
Conducted by PETER KNIGHT

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra (ATTENTION, UNE FEMME PEUT EN CACHER UNE AUTRE!)

(仏Music Box Records / MBR-225)

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フィリップ・サルド(1948〜)が1983年に手がけた2作品のスコアをカップリングにしたCD。いずれも初CD化で、500枚限定プレス。

「(未公開)青い性/処女喪失(PREMIERS DÉSIRS)」は、1983年製作のフランス=西ドイツ合作映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「ビリティス」(1977)「(未公開)愛と追憶のセレナーデ/幻影に揺れる汚れなき美少女たち」(1979)等の監督作や、ソフトフォーカスの少女のヌード写真で知られるイギリスの写真家デヴィッド・ハミルトン(1933〜2016)。出演はモニカ・ブルーケ、パトリック・ボーショー、インゲ・マリア・グランゾウ、アニャ・シュート、エマニュエル・ベアール、ブリューノ・ギレン、ステファーヌ・フレイス、シャーリー・シュムニー、セルジュ・マルカン、ベアトリス・コスタンティーニ、アン=ジゼル・グラス、オーグスタ・キーム、ナタリー・デファンダン、ソフィー・ラドミラル、アルフォン・キーム他。脚本はマイケル・エルドマン、フィリップ・ゴルティエとベルトラン・ルヴェルジョワ。撮影はアラン・ドゥローブ。

休暇で海に遊びに来たカロリーヌ(ブルーケ)、エレーヌ(ベアール)とドロテ(シュート)の3人の少女たちは、嵐で離ればなれになってしまい、島に流れ着く。翌日まで島から出る船がないと知った彼女たちは、島の少年たち、マックス(シュムニー)、エチエンヌ(ギレン)とラウール(フレイス)の提案により、小さな家に滞在することにする……。

フィリップ・サルドのスコアは公開当時の1983年に仏General Musicレーベルから全14曲/約31分収録のサントラLP(General Music 803059)が出ていたが、Music Boxレーベルが2023年7月にリリースしたこのCDはLPと同内容でリマスターされている。

「Premiers désirs」は、ピアノ、ストリングスとギターによる爽やかでリリカルなメインタイトルで、サルドのスコア中でも最も“フランシス・レイ的”な印象の親しみやすい主題。このメインの主題が様々なバリエーションでスコア全編に登場する。「Découverte de Caroline」は、ギターとストリングスによるメインの主題のバリエーションから後半やや不安なタッチへ展開。「Julia Drake, pianiste」は、リリカルでややメランコリックなタッチのピアノ・ソロによる曲。「À travers le voile」は、メインの主題を織り込んだメランコリックなタッチの曲。「En bateau」は、ストリングスとギターによるジェントルでリリカルな曲。「L'été, les jeunes filles」「Le trouble, sur la plage」も、メインの主題のバリエーション。「Le port du départ」は、ストリングスとピアノによるジェントルなワルツ調の曲。「Le premier été d'une jeune fille」は、ピアノ・ソロによるメインの主題。「Découverte du plaisir」は、ストリングスとピアノによるジェントルで静かにドラマティックな曲。「La nuit, la forêt...」は、ギターとストリングスによるサスペンス調から後半メインの主題へ。「Les parasols」は、ピアノ・ソロによるジェントルでリリカルな曲。「La jetée, le miroir, le baiser」は、ストリングス、ギター、ピアノをフィーチャーしたメインの主題を含むジェントルなタッチの曲。「Premiers désirs (Final)」は、メインの主題のリプライズによるフィナーレ。ピアノの演奏はイギリスのピアニストで指揮者でもあるサー・ハワード・シェリー(1950〜)。

「(未公開)ATTENTION, UNE FEMME PEUT EN CACHER UNE AUTRE!」は、1983年製作のフランス映画(英語題名は「MY OTHER HUSBAND」)。監督は「愛人関係」(1973)「警部」(1978)「(未公開)ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ」(1980)「ソフィー・マルソー/恋にくちづけ」(1984)「ラ・メゾン/惨劇の館」(1988)等でもフィリップ・サルドと組んでいるジョルジュ・ロートネル(1926〜2013)。出演はミュウ=ミュウ、ロジェ・アナン、エディ・ミッチェル、ラシッド・フェラシュ、アングリッド・ルリアン、ヴァンサン・バラゾーニ、ドミニク・ラヴァナン、シャルロット・ドゥ・テュルクハイム、ルネ・サン=シール、フランソワ・ペロー、ジャン・ルージュリー、ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ、フィリップ・コルサン、フロランス・ジョルゲッティ、ローラン・ジロー、メテナ・ガリ他。脚本は「すぎ去りし日の…」(1970)「夕なぎ」(1972)「ギャルソン!」(1983)「デサント・オ・ザンファー/地獄に堕ちて」(1986)等のジャン=ルー・ダバディ(1938〜2020)。撮影は「太陽がいっぱい」(1960)「サムライ」(1967)「シシリアン」(1969)「仁義」(1970)等のアンリ・ドカエ(1915〜1987)。

パリで外科医の助手を務めるアリス(ミュウ=ミュウ)は、夫のフィリップ(アナン)と10歳の息子シモン(フェラシュ)を残して田舎へ引越し、ヴァンサン(ミッチェル)と恋に落ちて2人の子供を作る。彼女はフィリップと離婚しておらず、ヴァンサンと結婚もしていない。やがて2人の男は互いの存在を知るようになり……。

フィリップ・サルドのスコアは公開当時の1983年に仏General Musicレーベルから2曲を収録したEP盤(General Music/WEA 801019)が出ており、その後2011年に仏Universalレーベルが出したジョルジュ・ロートネル監督とサルドのコラボレーション作品を集めたコンピレーションCD「Le Cinéma de Georges Lautner」(Universal Music France 2769790)に2曲が収録されていたが、Music Boxレーベルが2023年7月にリリースしたこのCDには全12曲/約35分半を収録。

「Loving Him, Loving You (Vocal:Vivian Reed)」は、アメリカ人の歌手・俳優ヴィヴィアン・リード(1947〜)の英語のヴォーカルによるジェントルな主題歌。「Double « je » 」は、快活で躍動的な曲で、サルドらしいシャープでクラシカルなタッチが秀逸。このメインの主題は「Flûte Solange」でもフルート・ソロにより演奏される。「Elle et eux」は、ピアノ、ストリングス、フルートによるジェントルでロマンティックな曲。「L'un et l'autre」「Pile et face」「Alice et Vincent」「Vincent et Philippe」「Femme exemplaire」「Dilemme」は、フルートとピアノによるジェントルで美しい曲で、同じ主題が様々なバリエーションにより展開。「Vincent, Philippe, Simon… et les autres」は、ストリングスによるジェントルで情感豊かな曲。「Thème Générique」は、快活で躍動的なメインテーマ。フルートはアメリカ人のフルーティスト、ヒューバート・ロウズ(1939〜)、ピアノはフランク・オーウェンズの演奏。オーケストラはピーター・ナイト指揮のロンドン交響楽団。

尚、上述の仏UniversalレーベルによるコンピレーションCD「Le Cinéma de Georges Lautner」には、以下の作品が収録されている。

・(未公開)La valise(1973)
・愛人関係 Les seins de glace (1974)
・(未公開)Pas de problème! (1975)
・(未公開)On aura tout vu (1976)
・(未公開)Ils sont fous ces sorciers! (1978)
・(未公開)Attention, une femme peut en cacher une autre! (1983)
・ソフィー・マルソー/恋にくちづけ Joyeuses pâques (1984)
・ラ・メゾン/惨劇の館 La maison assassinée (1988)


(2023年9月)

Philippe Sarde

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