(TV)ウェンズデー WEDNESDAY

作曲:ダニー エルフマン、クリス・ベーコン
Composed by DANNY ELFMAN, CHRIS BACON

(米Lakeshore Records)2022

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2022年製作のアメリカのテレビシリーズ(2022年11月23日よりNetflixで配信)。監督は「ビートルジュース」(1988)「バットマン」(1989)「シザーハンズ」(1990)「マーズ・アタック!」(1996)「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(2001)「チャーリーとチョコレート工場」(2005)「アリス・イン・ワンダーランド」(2010)「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」(2016)「ダンボ」(2019)等のティム・バートン(1958〜)と「(TV)ヤング・スーパーマン」(2001〜2011)「(TV)SUPERGIRL/スーパーガール」(2016〜2017)等のジェームズ・マーシャル(1962〜)、「(TV)ウィッチャー」(2019)等のガンジャ・モンテイロが各話を担当。出演はジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー、リキ・リンドホーム、ジェイミー・マクシェーン、ハンター・ドゥーハン、パーシー・ハインズ・ホワイト、エマ・マイヤーズ、ジョイ・サンデー、ムーサ・モスタファ、ジョージー・ファーマー、ナオミ・J・オガワ、クリスティナ・リッチ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ルイス・ガスマン、フレッド・アーミセン他。企画(クリエーター)は「(TV)ヤング・スーパーマン」(2001〜2011)「(TV)バッドランド 〜最強の戦士〜」(2015〜2019)等のアルフレッド・ゴーフ(1967〜)とマイルズ・ミラー(1970〜)。チャールズ・アダムス(1912〜1988)による1コマ漫画『アダムス・ファミリー』のキャラクターを基に、アルフレッド・ゴーフ、マイルズ・ミラー、ケイラ・アルパート、エイプリル・ブレアとマット・ランバートが脚本を執筆。撮影はデヴィッド・ランゼンバーグとスティーヴン・ペールソン。

『アダムス・ファミリー』の登場人物で、アダムス家の長女ウェンズデー・アダムスを主役にしたコメディ・タッチのホラー・シリーズ。高校を退学になったウェンズデー(オルテガ)は、彼女の両親ゴメス(ガスマン)とモーティシア(ゼタ=ジョーンズ)がかつて通っており、モーティシアの学友だったラリッサ・ウィームス(クリスティー)が校長を務めるにネヴァーモア・アカデミーに入学するが、ここでは“異常な才能を持つ子どもたち”を集めて育成していた。自分の超能力を充分にコントロールできず、同級生に溶け込めないウェンズデーは、謎のモンスターによる殺人事件を目撃し、調査することを決意するが……。2023年度MTVムービー・アワードの作品賞(TVドラマ部門)、音楽シーン賞、コンビ賞、ヒーロー賞にノミネートされ、主演のジェナ・オルテガが俳優賞(TVドラマ部門)を受賞している。チャールズ・アダムスの原作は「(TV)アダムズのお化け一家(THE ADDAMS FAMILY)」(1964〜1966/出演:ジョン・アスティン、キャロリン・ジョーンズ)、「アダムス・ファミリー(THE ADDAMS FAMILY)」(1991/監督:バリー・ソネンフェルド、出演:アンジェリカ・ヒューストン、ラウル・ジュリア)等、過去に何度も映像化されている。1991年の劇場映画版でウェンズデーを演じたクリスティナ・リッチが、今回のシリーズではウェンズデーの教師役で登場。

音楽は、8エピソード中の4エピソードを監督しているティム・バートン「ピーウィーの大冒険」(1985)「ビートルジュース」(1988)「バットマン」(1989)「シザーハンズ」(1990)等大半の作品で組んでいる盟友ダニー・エルフマン(1953〜)と、「ミッション:8ミニッツ」(2011)「(未公開)名探偵シャーロック・ノームズ」(2018)「メン・イン・ブラック:インターナショナル」(2019)「65/シックスティ・ファイブ」(2023)等のクリス・ベーコン(1977〜)。

「Wednesday Main Titles」は、オーケストラにコーラスとシンセサイザーを加えたダークでミステリアスでダイナミックなメインタイトルで、過去のバートン作品におけるエルフマン節が炸裂して個人的には懐かしい。「Thing Follows Rowen」は、不吉なイントロからダイナミックなタッチへ。「Morticia and Wednesday」は、ピアノ、チェロとコーラスを加えたメランコリックでドラマティックなタッチの曲。「Secret Library」「Scorpion Flashback」は、コーラスとチェロをフィーチャーしたダークなサスペンス音楽。「Family Day」「Dress Shopping」「Devious Plan」「Annoying Distractions」は、ダークでややコミカルなタッチの曲。「Burning Outcasts」は、ダークでドラマティックなタッチから後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Wednesday on the Case」は、リズミックなサスペンス音楽。「Gomez Accused of Murder」「Searching the House」「One More Chance」は、ダークなサスペンス音楽。「A Dove and a Raven」「A More Than Adequate Father」「The Hug」は、メランコリックで美しい曲。「Gomez' Story」「I Will Find You」は、チェロをフィーチャーしたメランコリックな主題からダークでダイナミックなタッチへ。「Morticia's Yearbook」「Crackstone Rises」は、ダークでドラマティックな曲。「Stabbed in the Back」は、ダークでダイナミックなサスペンス音楽から後半メランコリックなタッチへ。「First Kiss」は、ピアノをフィーチャーした静かなタッチから後半ダイナミックにサスペンスが盛り上がる。「Wednesday Packs Up」「Goody Heals Wednesday」「Secret Symbols」「Wednesday and Pugsley」は、チェロをフィーチャーしたメランコリックな曲。「Enid to the Rescue」「Fencing」「Crackstone Defeated」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「The End…?」は、メランコリックでドラマティックな主題から後半ダイナミックなチェロ・ソロの演奏へ。「Wednesday End Titles」は、ダークでミステリアスでダイナミックなメインの主題によるエンドタイトルで、最後にオリジナルのTVシリーズの主題が一瞬引用される。「Meet Wednesday」は、チェロ・ソロをフィーチャーしたダークでダイナミックな曲。「Poe Cup Race」は、エルフマンの個性が強く出たダイナミックでリズミックなアクション音楽。「A Safe Cracking Thing」「Nightshades」「Xavier and Wednesday」「Morticia's Story」「The Gates Mansion」は、不吉なサスペンス音楽。「Roomies No More」は、ドラマティックでメランコリックな曲。「Wednesday Addams (End Titles)」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。劇中で主人公のウェンズデーがチェロを演奏するシーンが何度かあり、チェロ・ソロをフィーチャーした曲が多い。

クリス・ベーコン作曲の音楽は、上記エルフマンのスコアにシームレスに織り込まれており、「The Monster」は、不気味なサスペンス調から後半コーラスとオルガンを加えてドラマティックに盛り上がる。「It's a Snood」は、コーラスをフィーチャーした幻想的な曲。「The Monster Is Here!」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Uncle Fester」「Fester and Wednesday Stakeout」は、ダークかつややコミカルなタッチの曲。「Let's Roll」は、ホラー調のロック。「Poe Cup Fanfare」は、ヒロイックなファンファーレからマーチへ展開する曲。

ダニー・エルフマンクリス・ベーコンは、このスコアで2022年度エミー賞のシリーズ向けオリジナル・ドラマティック・スコア賞にノミネートされている。

クリス・ベーコンは、ユタ州出身のアメリカの作曲家で、ピアノとサックスの演奏を習得した後で大学で作曲を学び、南カリフォルニア大学の映画音楽プログラムに参加。ジェームズ・ニュートン・ハワードに師事し、「アメリカン・ハッスル」(2013)「パディントン」(2014)「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」(2015)「ビーイング・チャーリー」(2015)といった作品に追加音楽を作曲している。

クリス・ベーコンが作曲を手がけた作品には
「(未公開/TV)Angels Fall」(2007)
「(未公開/TV)Blue Smoke」(2007)
「(未公開)Space Chimps」(2008)
「(未公開/TV)Northern Lights」(2009)
「(未公開/TV)Midnight Bayou」(2009)
「(未公開)Waking Sleeping Beauty」(2009)
「(未公開)ラブ・ランチ 欲望のナイトクラブ(Love Ranch)」(2010)
「(未公開)Alpha and Omega」(2010)
「(未公開)Gnomeo & Juliet」(2011)
「ミッション:8ミニッツ(Source Code)」(2011)
「(未公開/V)Beethoven's Christmas Adventure」(2011)
「(未公開/TV)Ricochet」(2011)
「(未公開/TV)Wonder Woman」(2011)
「(未公開/TV)Hornet's Nest」(2012)
「(未公開)High Ground」(2012)
「(未公開)Drained」(2012)
「(未公開)Atlas Shrugged II: The Strike」(2012)
「(未公開/TV)Smash」(2012〜2013)
「(未公開/TV)An Amish Murder」(2013)
「(未公開/V)Alpha and Omega 2: A Howl-iday Adventure」(2013)
「(未公開/TV)Reckless」(2013)
「(TV)サイコ前章「ベイツ・モーテル」(Bates Motel)」(2013〜2017)
「(未公開)The Visitant」(2014)
「(未公開/TV)Living with Lincoln」(2015)
「ビーイング・チャーリー(Being Charlie)」(2015)
「(未公開/TV)Finding Fortune」(2016)
「(未公開)Patient Seven」(2016)
「(未公開/TV)The Tick」(2016〜2019)
「(未公開/TV)A Series of Unfortunate Events」(2017)
「(未公開/TV)When We Rise」(2017)
「クレイジー・バカンス ツイてない女たちの南国旅行(Snatched)」(2017)
「(未公開)The Bridge」(2017)
「(未公開)名探偵シャーロック・ノームズ(Sherlock Gnomes)」(2018)
「(未公開)Lava」(2018)
「メン・イン・ブラック:インターナショナル(Men in Black: International)」(2019)
「(未公開/V)Super Gidget」(2019)
「(未公開/TV)Dark Cargo」(2019)
「(未公開)Immanence」(2022)
「(TV)ウェンズデー(Wednesday)」(2022)
「(未公開)Strong Enough」(2022)
「65/シックスティ・ファイブ(65)」(2023)

等がある。

クリス・ベーコンは2012年の「(未公開/TV)Smash」、2013年の「(TV)サイコ前章「ベイツ・モーテル」」と2022年の「(TV)ウェンズデー」でエミー賞のシリーズ向けオリジナル・ドラマティック・スコア賞(Outstanding Music Composition for a Series (Original Dramatic Score))に、2016年の「(未公開/TV)The Tick」で同賞のメインタイトル音楽賞(Outstanding Original Main Title Theme Music)にノミネートされている。

(2023年8月)

Danny Elfman

Chris Bacon

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