(未公開)NETCHAÏEV EST DE RETOUR
トレンチコートの女 ON NE MEURT QUE DEUX FOIS

作曲・指揮:クロード・ボラン
Composed and Conducted by CLAUDE BOLLING

(仏Music Box Records / MBR-207)

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「ボルサリーノ」(1970)「(未公開)パリから来た殺し屋」(1973)「フリック・ストーリー」(1975)「友よ静かに死ね」(1976)「パリ警視J」(1984)「恋の病い」(1987)等のジャック・ドレー(1929〜2003)が監督し、「ボルサリーノ」(1970)「もういちど愛して」(1971)「おかしなおかしな大冒険」(1973)「フリック・ストーリー」(1975)「カリフォルニア・スイート」(1978)「ピラミッド」(1980)「レプスキー危機一発/ロシア皇帝の秘宝」(1989)等のクロード・ボラン(1930〜2020)がスコアを手がけた2作品のスコアをカップリングにしたCD。500枚限定プレス。

「(未公開)NETCHAÏEV EST DE RETOUR」は、1991年製作のフランス=イタリア=スイス合作映画(英語題名は「NETCHAÏEV IS BACK」)。出演はイヴ・モンタン、ヴァンサン・ランドン、パトリック・シュスネ、ミレイユ・ペリエ、カロリーナ・ロシ、マキシム・ルルー、ジャン=クロード・ドーファン、ミュウ=ミュウ、ジャン=マリー・ワンラン、ジャン=リュック・ポラ、アンジェロ・アンファンティ、マティア・スブラジア、ピエール・ドゥボーシュ、ジェラール・ダリュー他。「Z」(1969)「告白」(1970)「薔薇のスタビスキー」(1973)「告発者K」(1997)等の脚本を手がけたホルヘ・センプラン(1923〜2011)の原作を基に、ジャック・ドレーとダン・フランクが脚本を執筆。撮影はイヴ・アンジェロ。

フランス国内でのテロ対策等を手がける公安警察、国土監視局(DST)の局長ピエール・マルー(モンタン)は、5年前にジブラルタルで死んだと考えられていた彼の息子ダニエル・ローランソン(ランドン)――別名“ネチャイエフ”――がパリに舞い戻ったと知らされる。ネチャイエフはパリのショッピングモールで起きた爆弾テロの首謀者と考えられていたが、実際の犯人は彼ではなく、彼の元恋人の科学者ブリジット(ミュウ=ミュウ)、作家のエリー(ルルー)、新聞編集者のフィリップ・マルテル(ドーファン)、イランと不法な武器取引を進めている実業家で5年前にネチャイエフの暗殺を命じたルロイ(シュスネ)たちテロリスト・グループだった。テロ行為から足を洗おうとしていたネチャイエフは、政治信条の対立から15年間も音信不通だった父のマルーと再会し、共にテロリスト一味を阻止しようとするが……。

クロード・ボランのスコアは、公開当時の1991年にフランスHortensiaレーベルより全12曲収録のサントラCD(Hortensia CD CH 801/「トレンチコートの女」とカップリング)が出ていたが、2022年8月にMusic BoxレーベルがリリースしたこのCDには、ボランが保管していたオリジナルのマスターテープよりリマスターされた全18曲を収録。「Générique début」は、ミステリアスでややメランコリックなタッチのメインタイトルで、ボランの傑作「フリック・ストーリー」に似た物憂げなタッチの主題が良い。このメインの主題は「GJR」「Netchaïev」「Les autres」「Brigitte」「Martel」でも登場する。「Le retour」は、ジェントルでドラマティックな曲。「Daniel Laurençon」「Danger」「Perez」「Sonsoles」は、抑制されたサスペンス音楽。「Élie」「L'attentat」「Le chat et la souris」は、ミステリアスでドラマティックなタッチの曲。「Leloy」は、ジャズ風のピアノを織り込んだ抑制されたサスペンス音楽。「Action」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Sylvie」は、ジェントルなピアノによるシルヴィー(ペリエ)の主題。「Marroux (Générique fin)」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。

「トレンチコートの女(ON NE MEURT QUE DEUX FOIS)」は、1985年製作のフランス映画(日本公開は1988年10月/英語題名は「HE DIED WITH HIS EYES OPEN」)。出演はミシェル・セロー、シャーロット・ランプリング、グザヴィエ・ドリュック、エリザベート・ドパルデュー、ジャン・ルーヴレ、ジャン=ポール・ルーシヨン、モーリス・バリエ、ジャン=ピエール・ダルーサン、ジュリー・ジェゼケル、アルベール・デルピー、リトン・リーブマン、リュック・フロリアン、ジェラール・ダルモン、ジャン=ピエール・バクリ、フィリップ・エリエ他。ロビン・クック(1931〜1994/デレク・レイモンド名で犯罪小説を執筆したイギリスの小説家で「コーマ」「スフィンクス」等のロビン・クックとは別人)の原作『He Died with His Eyes Open』を基に、「殺人鬼に罠をかけろ」(1958)「地下室のメロディー」(1963)「追悼のメロディ」(1976)「チェイサー」(1978)等のミシェル・オーディアール(1920〜1985)とジャック・ドレーが脚本を執筆。撮影は「刑事キャレラ/10+1の追撃」(1972)「恐怖に襲われた街」(1975)「危険を買う男」(1976)「ハンカチのご用意を」(1978)等のジャン・パンゼ

ある雪深い朝、郊外の駅のプラットホームにピアニストのシャルル・ベルリネルの死体が投げ捨てられているのが発見された。事件を担当するパリ市警察のロベール・スタニラン警部(セロー)は、シャルルの妻マルゴ(ドパルデュー)から、彼にバルバラという愛人がいたことを知らされる。スタニランは、シャルルのアパートで微笑を浮かべた美女のヌード写真と、2人の情事が収められたカセットテープを発見する。そこへ写真の女で情事の相手でもあるバルバラ(ランプリング)がやって来て、自分が殺人の犯人であると告白する。捜査を進めるうちに、バルバラの魔性にとらわれていったスタニランは、ついに彼女と関係を持ってしまうが……。ジャン・パンゼが、1985年度セザール賞の撮影賞を受賞している。

クロード・ボランのスコアは、公開当時の1985年にフランスのMilanレーベルからサントラLP(Milan Records A 275)が出ており、上述の通り1991年にHortensiaレーベルから「NETCHAÏEV EST DE RETOUR」とカップリングになったCDが出ていたが、2022年8月にMusic BoxレーベルがリリースしたこのCDには、LPと同内容の12曲(リマスター済)を収録。「Générique début」は、クロード・ボラン自身の演奏によるピアノをフィーチャーしたダークなイントロから、ピエール・ゴセの演奏によるドラマティックで気だるいタッチのサックス・ソロへと展開するメインタイトル。「Berliner」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Barbara」は、サックスをフィーチャーしたドラマティックなバルバラの主題。「La douche」は、ストリングスとフルートによるジェントルでドラマティックな曲。「Cabourg」は、レストランのシーンで流れるフルートとストリングス、ピアノによるジェントルでリリカルなソース曲で、ボランらしいタッチ。「Chopinesque」は、ショパン風のクラシカルでメランコリックなピアノ曲。「On ne meurt que deux fois」は、サックス・ソロをフィーチャーしたメインの主題のリプライズ。「Pushing my luck」「Éléphant rose」は、ナイトクラブのシーンで流れるソース曲で、前者はスティーヴン・ステイプレーの英語のヴォーカルによるロックの挿入歌(作曲はクロード・ボランとスティーヴン・ステイプレー)、後者はサックスをフィーチャーしたリズミックな曲。「Magical dreams」は、フォトスタジオのシーンで流れるロックのソース曲(作曲はクロード・ボランとレイモン・ジメネ、作詞はダニエル・アジャジ)。「Funky blues」「For L.A.」も、ロックのソース曲。
(2022年12月)

Claude Bolling

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