オペラの怪人 THE PHANTOM OF THE OPERA

作曲・指揮:クレイグ・セイファン
Composed and Conducted by CRAIG SAFAN

演奏:マイルス・エンド交響楽団
Performed by the Miles End Symphony

(米Intrada / INT 7169)

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1925年製作のアメリカ映画。監督は「好戦将軍」(1918)「メリー・ゴー・ラウンド」(1923)「東へ向く三つの顔」(1925)等のルパート・ジュリアン(1886〜1943)。出演はロン・チェイニー、メアリー・フィルビン、ノーマン・ケリー、アーサー・エドマンド・ケアウィー、ギブソン・ゴーランド、ジョン・セインポリス、スニッツ・エドワーズ、メアリー・ファビアン、ヴァージニア・ピアソン、オリーヴ・アン・アルコーン、ジョセフ・ベルモント、アレクサンダー・ベヴァーニ、アール・ゴードン・ボストウィック、エドワード・セシル、ルース・クリフォード他。フランスの作家ガストン・ルルー(1868〜1927)が1909年に発表した原作『オペラ座の怪人(Le Fantôme de l'Opéra)』を基にエリオット・J・クローソンとレイモンド・L・シュロックが脚本を執筆。撮影はミルトン・ブライデンベッカー、ヴァージル・ミラーとチャールズ・ヴァン・エンガー。製作はカール・レムレ。1880年のパリ。オペラ座の支配人引退興行の夜、プリマドンナのカルロッタが突然の病気のため、無名の若手歌手クリスティーヌ・ダーエ(フィルビン)が「ファウスト」のマルグリットを演じ大成功を博した。クリスティーヌは、自分の楽屋の裏から聞こえる“天使の声”の指導で歌唱力を付けていた。彼女の恋人ラウール子爵(ケリー)は天使の声の主に嫉妬して謎を解こうとするが、その主こそ、オペラ座の地下に広がる広大な水路の空間に住み着いた“怪人”ことエリック(チェイニー)であった……。過去に何度も映画化・舞台化されている有名な原作だが、この1925年製作のサイレント映画は、原作通りの「ドクロのような人相のおぞましい化物」をロン・チェイニーが特殊メイクによりリアルに再現していることで知られる。

本作はサイレント映画だが、1925年の初公開時には、ジョセフ・カール・ブレイル(1870〜1926)やグスタフ・ハインリヒ(1850〜1942)が作曲した音楽のオーケストラによる生演奏つきで上映され、トーキーの時代になって、再編集の上、セリフやSEが追加された1930年公開版には、サム・ペリー(1884〜1936)作曲のスコアがつけられた。その後、1990年のリバイバル上映時にはリック・ウェイクマン(1949〜)作曲、ガブリエル・ティボードー(1959〜)作曲、1993年上映時にはロイ・バッド(1947〜1993)作曲、1996年上映時にはカール・デイヴィス(1936〜)作曲の新たなスコアがつけられている。この内、リック・ウェイクマンのスコアはLP(One Way Static Records OWS22)が、ロイ・バッドのスコア(Mishka Productions MPL015)とカール・デイヴィスのスコア(Silva Screen FILMCD 193)はCDがリリースされている。

これは、2019年のリバイバル上映時に「がんばれ!ベアーズ特訓中」(1977)「デビルゾーン」(1983)「スター・ファイター」(1984)「バイオ・インフェルノ」(1985)「レモ/第1の挑戦」(1985)「エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃」(1988)「(TV)サン・オブ・ザ・モーニング・スター/悲劇の将軍カスター」(1991)等のアメリカの作曲家クレイグ・セイファン(1948〜)が作曲したスコアで、2000人の聴衆が参加したチェイス・パークでの初演では、セイファン自身がデル・レイ交響楽団を指揮して演奏している。このIntradaレーベルのCDは、セイファン指揮のマイルス・エンド交響楽団の演奏により新録音されたもの。

「Phantom Main Title」は、オーケストラとオルガンによる躍動的でスリリングなメインタイトル。「The Grand Ballet」は、ダイナミックなイントロからジェントルで快活なワルツへ。「A Scare」は、ダークでダイナミックなタッチからワルツの主題、躍動的でサスペンスフルな主題へ展開。「Christine & Raul」は、ジェントルでリリカルな主題から大らかな主題、サスペンス調へ。「The Chandelier」は、女声ヴォーカルをフィーチャーした明るく快活な主題から、後半ダイナミックでスリリングなタッチへ。「I Am Ready, Master!」は、快活なタッチからミステリアスな主題へ。「The Gondola / Phantom's Love」は、女声ヴォーカルによるドラマティックな主題から抑制されたサスペンス音楽、躍動的なタッチへ。「Christine in the Phantom's Lair」は、ダイナミックでスリリングなタッチからメランコリックな主題、オルガンをフィーチャーした躍動的でドラマティックな主題へ。「Phantom Unmasked!」は、パーカッシヴでダイナミックな曲。「The Bal Masque De L'Opera」は、躍動的な舞踏音楽からダークでサスペンスフルなタッチへ。「Lovers on the Opera Roof」は、荘厳なコーラスをフィーチャーした幻想的でドラマティックな曲。「Plans to Escape」「Christine's Impossible Choice」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Murder / Christine Abducted」は、ダークで重厚なタッチからパーカッシヴでサスペンスフルな主題、メランコリックな主題、女声ヴォーカルによるドラマティックな歌曲へ展開。「Into the Tunnels」は、ダークでミステリアスなタッチからパーカッシヴなサスペンス音楽へ。「Searching / The Phantom Underwater」も、パーカッシヴでサスペンスフルな曲。「The Room of Fire」は、オルガンをフィーチャーしたダークでサスペンスフルな主題から躍動的でダイナミックなタッチへ。「Wild Ride / The End of the Phantom」は、重厚なタッチからオルガンと女声ヴォーカルをフィーチャーしたダイナミックでドラマティックな主題へ展開し、締めくくる。

初公開時のスコアや、ロイ・バッド、カール・デイヴィス作曲のスコアでは、劇中でも登場するシャルル・グノー作曲のオペラ「ファウスト」が引用されており、特にデイヴィスのスコアはクラシック色が強いが、このクレイグ・セイファン作曲のスコアは、よりカラフルで映画音楽的。
(2022年8月)

Craig Safan

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