(未公開)TENDRE POULET
(未公開)CHÈRE LOUISE
(未公開)悪党 LE DIABLE PAR LA QUEUE

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

(仏Play Time / PLT1711340)

 ★TOWER.JPで購入

   ★AMAZON.CO.JPで購入 


「大盗賊」(1961)「リオの男」(1963)「まぼろしの市街戦」(1967)「おかしなおかしな大冒険」(1973)「愛と復讐の騎士」(1997)等のフランスの監督フィリップ・ド・ブロカ(1933〜2004)とジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)とのコラボレーションによる3作品を集めたコンピレーション。

「(未公開)TENDRE POULET」は、1977年製作のフランス映画(英語題名は「DEAR INSPECTOR」)。出演はアニー・ジラルド、フィリップ・ノワレ、カトリーヌ・アルリック、ユベール・デシャンプ、ポーレット・デュボスト、ロジェ・デュマ、レイモン・ジェローム、ギイ・マルチャン、シモーヌ・ルナン、ジョルジュ・ウィルソン、モニーク・タルベ、アンリ・ツァルニアク、モーリス・イルー、ジョルジュ・リキエ、ダヴィッド・ガビソン他。クロード・オリヴィエとジャン=ポール・ルーランの原作『Le Commissaire Tanquerelle et le Frelon』を基にミシェル・オーディアールとフィリップ・ド・ブロカが脚本を執筆。撮影はジャン=ポール・シュワルツ。20年前にソルボンヌ大学に一緒に通っていた刑事のリズ(ジラルド)と教授のアントワーヌ(ノワレ)は、彼女の車が彼のバイクに衝突したことをきっかけに再会し、また付き合いはじめる。2人の最初の夕食は、国民議会の議員が殺害された事件の一報がリズに入ったことで中断されてしまう。彼女は自分が刑事であることをアントワーヌに隠しつつ、事件の捜査を進めるが……。この映画はアメリカで1979年にブレンダ・ヴァッカーロ主演のテレビ映画「(未公開/TV)DEAR DETECTIVE」としてリメイクされている。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Tendre poulet」が、アコーディオンをフィーチャーしたややメランコリックなタッチで躍動的なメインの主題で、後半は明るい主題に展開。「Le Jardin de Lise」は、フルートをフィーチャーしたジェントルなタッチの曲。「Une chorale sous la pluie」は、荘厳でドラマティックなコーラス曲。「Antoine et Lise」「Lise et Antoine」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたリリカルで美しい曲。「Meurtre et bicyclette」は、ややメランコリックなタッチからサスペンス調、優雅なワルツの主題へと展開する曲。「Retrouvailles」は、静かにジェントルな曲。「Christine's blues」は、ライトなジャズ。「Lever du jour」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「Départ pour Honfleur」は、アコーディオンをフィーチャーしたジェントルで快活なタッチの曲。

このスコアは公開当時の1977年にフランスのDeesseレーベルから全15曲/約29分半収録のサントラLP(Deesse DDLX 159)が出ており、その後フランスのUniversalレーベルが2003に出したドルリューとド・ブロカ監督の作品集CD(Universal France 980 988-5)に6曲が収録されていたが、このPlaytimeレーベルのCDには全10曲を収録。

「(未公開)CHÈRE LOUISE」は、1972年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「DEAR LOUISE」)。出演はジャンヌ・モロー、ジュリアン・ネグレスコ、ディディ・プレゴ、ジル・ラルソン、ルシアン・ルグラン、ピポ・スタルナッザ、リュス・ファビオール、ジェニー・アラッス、ルイ・ナヴァール、イヴ・ロベール他。ジャン=ルイ・キュルティスの原作を基にジャン=ルー・ダバディが脚本を執筆。撮影はリカルド・アロノヴィッチ。アヌシーで美術の教師を務めるルイーズ(モロー)と失業中のイタリア人移民ルイジ(ネグレスコ)との恋愛を描いたドラマ。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Chère Louise」が明るく快活なイントロからピアノとストリングスによるしっとりと美しいルイーズの主題へ展開する曲で、心に深く染み入る名曲。ドルリュー自身もお気に入りだったようで、よくピアノで弾いたという。「Luigi (version 1)」「Luigi (version 2)」は、口笛をフィーチャーしたメランコリックかつドラマティックなルイジの主題。「Lac d'Annecy」は、オルガンをフィーチャーした静かにドラマティックなタッチの曲。「Dixieland savoyard」は、明るく陽気なディクシーランド・ジャズ。「Les Mystères de Louise」は、フルートとストリングスによるメインの主題からダークなタッチへ展開。「Valse de l'avenir」は、ジェントルなワルツ。「Solitude」は、ピアノとストリングスによるメインの主題のリプライズ。更にCDの最後にボーナストラックとしてドルリュー自身のピアノ演奏によるデモ「Luigi」「Thème Louise」を収録。

このスコアはフランスのWEAレーベルから2曲のみ収録したEPアルバム(WEA Records F 16 186)が出ており、その後上記Universalレーベルの作品集CDに3曲が収録されていたが、このPlaytimeレーベルのCDにはボーナストラックを含めて計10曲が収録されており、全体の白眉となっている。

「(未公開)悪党(LE DIABLE PAR LA QUEUE)」は、1969年製作のフランス=イタリア合作映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済/英語題名は「THE DEVIL BY THE TAIL」)。出演はイヴ・モンタン、マドレーヌ・ルノー、マリア・シェル、ジャン・ロッシュフォール、ジャン=ピエール・マリエル、クロチルド・ジョアノ、クロード・ピエプリュ、タニヤ・ロペール、マルト・ケラー、グザヴィエ・ゲラン、ジャック・バルタン、ピエール・トルナード、ジャンヌ・ベルダン、シャルル・マレ他。脚本はダニエル・ブーランジェ、フィリップ・ド・ブロカとクロード・ソーテ。撮影はジャン・パンゼ。落ちぶれた貴族一家のジョルジュ伯爵(ロッシュフォール)、その妻(ルノー)、娘ディアーヌ(シェル)、孫娘アメリ(ケラー)は、雨漏りのする彼らの古城をホテルとして運営して収入を得ようとしていたが、まったく客が現れないので、アメリの恋人シャルル(ゲラン)が働くガソリンスタンドに立ち寄った客の車をシャルルがわざと故障させ、無理矢理ホテルに泊めるとの策を講じた。ところが、その手に乗ってホテルにやってきたセザール(モンタン)率いる3人組は、銀行を襲撃して逃走中の強盗犯だった……。

ジョルジュ・ドルリューのスコアは、「Le Diable par la queue」が明るく快活でクラシカルなタッチのメインタイトル。「Escapade champêtre」「Diable pastoral」は、ジェントルでクラシカルな曲。「Jeanne」は、ピアノとストリングスによるリリカルな曲。「César et Jeanne」は、明るくジェントルなタッチ。「Romance et impromptu」は、ピアノによるジェントルなワルツ。「Chassé-croisé」は、躍動的なタッチからヴァイオリン・ソロによるリリカルな主題へ。「César」は、アコーディオンをフィーチャーしたややメランコリックなタッチのセザールの主題。「Bienvenue au château」は、荘厳でクラシカルなタッチの曲。全体に室内楽風の上品でクラシカルなスコアで、ドルリューが得意とするタッチ。

このスコアは、1969年にイタリアのUnited Artistsレーベルから2曲のみ収録したEPアルバム(United Artists U.A. 3158 IT)が出ており、2003年にフランスのUniversalレーベルが出したドルリューとド・ブロカ監督の作品集CD(Universal France 980 988-4)に6曲が収録されていたが、このPlaytimeレーベルのCDには9曲が収録されている。

(2022年2月)

Georges Delerue

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2022  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.