コールド マウンテン COLD MOUNTAIN

作曲:ガブリエル・ヤレ
Composed by GABRIEL YARED

指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by HARRY RABINOWITZ

(仏Music Box Records / MBR-185)

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2003年製作のアメリカ=イタリア=ルーマニア=イギリス合作映画(日本公開は2004年4月)。監督は「最高の恋人」(1993)「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)「リプリー」(1999)「こわれゆく世界の中で」(2006)等のアンソニー・ミンゲラ(1954〜2008)。出演はジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、レニー・ゼルウィガー、アイリーン・アトキンス、ブレンダン・グリーソン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ナタリー・ポートマン、ジョヴァンニ・リビシ、ドナルド・サザーランド、レイ・ウィンストン、キャシー・ベイカー、ジェームズ・ギャモン、チャーリー・ハナム、ジャック・ホワイト、イーサン・サプリー他。チャールズ・フレイジャーの原作『コールドマウンテン』を基にアンソニー・ミンゲラが脚本を執筆。撮影はジョン・シール。南北戦争末期の1864年。ヴァージニア州で戦っていた南軍の兵士インマン(ロウ)は、瀕死の重傷を負い病院へ収容された。従軍して3年になる彼にとって、ノース・カロライナの故郷コールドマウンテンと彼の帰りを待ち続ける恋人エイダ・モンロー(キッドマン)だけが心の支えだった。病院でエイダからの手紙を受け取ったインマンは、死罪を覚悟で脱走を図り故郷へ向かって歩み出す。一方、インマンの帰りを待ち続けていたエイダは愛する父の急死という悲劇に見舞われていた。彼女は流れ者の女ルビー・シューズ(ゼルウィガー)に助けられ、2人は次第に友情を育んでいくが……。製作費は約7900万ドル、全世界興行収入は約1億7301万ドル。2003年度アカデミー賞の主演男優賞、撮影賞、作曲賞、歌曲賞、編集賞にノミネートされ、レニー・ゼルウィガーが同賞の助演女優賞を受賞している他、同年のゴールデン・グローブの助演女優賞、英国アカデミー賞の助演女優賞と作曲賞(アンソニー・アスキス映画音楽賞)、放送映画批評家協会賞の助演女優賞を受賞している。ゼルウィガーはキッドマンの演じたエイダの役を得るために自ら原作の映画化権を取得しようとしていたという。

音楽は「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)「リプリー」(1999)「こわれゆく世界の中で」(2006)「(TV)ようこそ!No.1レディース探偵社へ」(2008〜2009)等でアンソニー・ミンゲラ監督と組んでいるガブリエル・ヤレ(1949〜)。このスコアは公開当時に米Sonyレーベルが映画の挿入歌を集めた全19曲のコンピレーションCD(DMZ/Columbia/Sony Music Soundtrax CK 86843)をリリースしており、これにはガブリエル・ヤレのスコアが4曲のみ収録されていたが、別途映画会社のミラマックス/ワインシュタイン・カンパニーがスコアのみ13曲を収録したアカデミー賞のプロモーション用CD-Rを出していた。このMusic BoxレーベルのCDは2枚組となっており、1枚目にオリジナル・スコア(30曲)、2枚目に上記アカデミー賞用プロモCDの内容と未発表曲を収録したエクスパンデッド盤(全55曲/約128分)。1000枚限定プレス。

CD1枚目の冒頭「Opening」は、静かにメランコリックなタッチのオープニング曲。「Preparing for Battle」は、抑制されたタッチからドラマティックに盛り上がる曲。「Arrival at Cold Mountain / The Hospital」は、荘厳でジェントルなピアノ曲。「Idumea (Traditional)」は、チャールズ・ウェズリー/アムジ・チャピン作曲による大らかで荘厳な曲。「Without the Words」「Do You Worry?」は、ピアノをフィーチャーしたリリカルな曲。「The Dove」「Pastoral」「The Letter」「Fair Exchange」「I Hardly Know Her」「Inman Walking / Ada Reading」「Crocodile」「Strangers」「Bag of Diamonds」「I Marry You」は、ジェントルなタッチの曲。「Monroe's Death」は、静かにリリカルな曲。「Someplace, Someone」「The Well」「Sisyphus」「Heavy Weather」「Black Crows」は、メランコリックなタッチの曲。「Catastrophe」は、バンジョー、フィドルをフィーチャーした快活な曲。「Inman Running / River Crossing」「Rotten Soul」「Chain Gang」は、重厚なタッチの曲。「Junior」「Thumbs」「To Let You Go」は、不気味なサスペンス音楽。ラストの「Rebirth (Unused)」は、ジェントルで大らかなタッチの曲。
全体に静かで内省的なタッチのオーケストラル・スコア。ヴァイオリンはロルフ・ウィルソン、オーボエはデヴィッド・セオドア、クラリネットはニコラス・バックノール、コーラングレ(イングリッシュホルン)はスー・ボーリング、ピアノはサイモン・チェンバーレインとガブリエル・ヤレの演奏。

CD2枚目の前半に収録されたアカデミー賞のプロモーション用の13曲は、スコア中の各主題が聴きやすい形にアレンジされている。結果としてガブリエル・ヤレはこのスコアでアカデミー賞の作曲賞、ゴールデン・グローブの音楽賞、放送映画批評家協会賞の音楽賞にノミネートされ、英国アカデミー賞の作曲賞(アンソニー・アスキス映画音楽賞)を受賞している。
(2021年6月)

Gabriel Yared

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