エスピオナージ LE SERPENT

作曲:エンニオ・モリコーネ
Composed by ENNIO MORRICONE

指揮:ブルーノ・ニコライ
Conducted by BRUNO NICOLAI

(仏Music Box Records / MBR-099)

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1973年製作のフランス=イタリア=西ドイツ合作映画(日本公開は1974年3月/英語題名は「THE SERPENT」「NIGHT FLIGHT FROM MOSCOW」)。製作・監督は「地下室のメロディー」(1963)「ダンケルク」(1964)「シシリアン」(1969)「華麗なる大泥棒」(1971)「恐怖に襲われた街」(1975)「追悼のメロディ」(1976)等のアンリ・ヴェルヌイユ(1920〜2002)。出演はユル・ブリンナー、ヘンリー・フォンダ、ダーク・ボガード、フィリップ・ノワレ、ミシェル・ブーケ、ヴィルナ・リージ、ギイ・トレジャン、エルガ・アンダーセン、マリー・デュボワ、ナタリー・ネルヴァル、アンドレ・ファルコン、ロバート・パーティ、ウィリアム・サバティエ、ロバート・アルダ、ファーリー・グレンジャー、ジャン・ドザイー他。ピエール・ノール(1900〜1985)の原作『Le 13e suicidé』を基にアンリ・ヴェルヌイユとジル・ペローが脚本を執筆。撮影はクロード・ルノワール。ソヴィエト大使館付のアレクセイ・ヴラゾフ大佐(ブリンナー)は、パリのオルリー空港からモスクワに出発する直前にフランス空港警察に駈け込み、西側への亡命を要請する。フランス情報部SCEの部長ルシアン・ベルトン(ノワレ)は、外務大臣の命令でヴラゾフをアメリカに引き渡した。ヴラゾフは、CIA局長アレン・デイヴィス(フォンダ)とイギリスの駐米情報連絡員フィリップ・ボイル(ボガード)の立ち会いのもとで取り調べを受け、NATO諸国のトップレベルで働くソヴィエトのスパイのリストを持っていると告げるが……。この映画でボガードが演じたフィリップ・ボイルは、イギリス秘密情報部(MI6)職員で、二重スパイであることが発覚しソ連に亡命した実在のスパイ、キム・フィルビー(1912〜1988)がモデルになっている。

音楽はアンリ・ヴェルヌイユ監督と「サン・セバスチャンの攻防」(1968)「シシリアン」(1969)「華麗なる大泥棒」(1971)「恐怖に襲われた街」(1975)等でも組んでいるエンニオ・モリコーネ(1928〜2020)。このスコアは公開当時の1973年に仏RCAレーベルから全10曲のサントラLP(RCA Victor 440 758)が出て以来、様々なレーベルからCDがリリースされているが、2009年にイタリアGDMレーベルが全21曲/約66分収録で500枚限定プレスのCD(GDM CD Club 7072)をリリースしており、このMusic BoxのCDはGDM盤をベースに細かな欠陥を修正し、未発表曲2曲を追加したもの(全23曲/約72分収録)。

「Canzone lontana」は、ミステリアスなイントロからエッダ・デロルソのソプラノをフィーチャーしたメランコリックで美しいタッチのメインの主題へ展開。「Nadine」は、コーラス入りのアップビートな曲で、モリコーネが「エクソシスト2」に作曲した悪魔のテーマ「Pazuzu」に似ている。「Tema per una donna sola」「Canzone lontana」は、メランコリックで美しいメインの主題。「Orazione」は、オルガンによる荘厳なタッチの曲。「Parata militare」は、勇壮なマーチ。「Assassinio sul lago」「Il serpente」は、不気味なサスペンス音楽。「Astrazione con ritmo」「Esplicitamente sospeso」は、アブストラクトなタッチのサスペンス音楽。ここまでが1973年のオリジナル盤の内容で、これ以降ボーナストラックとしてラジオのソース曲、メインの主題等の別バージョン等9曲を収録。更に、デモ・トラックとして4曲を収録。オーケストラの指揮はブルーノ・ニコライ(1926〜1991)。
(2021年5月)

Ennio Morricone

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