(TV)ドラキュラ伯爵 DRACULA

作曲:デヴィッド・アーノルド、マイケル・プライス
Composed by DAVID ARNOLD, MICHAEL PRICE

指揮:マイケル・プライス
Conducted by MICHAEL PRICE

(英Silva Screen Records / SILCD 1619)

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2020年製作のイギリスのテレビドラマ(88〜91分×3話/BBCで放映後、Netflixで配信)。「(TV)SHERLOCK/シャーロック」でアーサー・コナン・ドイル原作のシャーロック・ホームズを現代に蘇らせたクリエーター、マーク・ゲイティス(1966〜)とスティーヴン・モファット(1961〜)が、ブラム・ストーカー(1847〜1912)原作の「吸血鬼ドラキュラ」をベースに、ドラキュラの起源とヴァン・ヘルシング家との戦いを19世紀のルーマニア、ハンガリー、そして21世紀のイギリスを舞台に描いたドラマ。第1話「怪物の定め(The Rules of the Beast)」第2話「血塗られし航海(Blood Vessel)」第3話「闇の羅針盤(The Dark Compass)」の3話から成り、監督は第1話を「(TV)アダム・ダルグリッシュ警視 神学校の死」(2003)「(未公開)宇宙人の解剖」(2006)等のジョニー・キャンベル、第2話を「(TV)ナイトメア2 〜血塗られた秘密〜」(2015)「(TV)キリング・イヴ/Killing Eve」(2019)等のデイモン・トーマス、第3話を「ギャングスター・ナンバー1」(2000)「ラッキーナンバー7」(2006)「(未公開)ヴィクター・フランケンシュタイン」(2015)「リヴァプール、最後の恋」(2017)等のポール・マクギガン(1963〜)が担当。出演はクレス・バング、ドリー・ウェルズ、モーフィド・クラーク、ジョナサン・アリス、ジョン・ヘファーナン、リディア・ウエスト、マシュー・ベアード、サーシャ・ダーワン、マーク・ゲイティス、ジョアンナ・スカンラン、ネイザン・ステュワード=ジャレット、シャネル・クレスウェル、ルーザ・リヒター、クライヴ・ラッセル、ペトラ・デュバヨヴァ他。脚本はマーク・ゲイティスとスティーヴン・モファット。撮影はトニー・スレイター・リングとジュリアン・コート。

1896年。弁護士のジョナサン・ハーカー(ヘファーナン)がイギリスの不動産購入の件でトランシルヴァニアのドラキュラ伯爵(バング)の城を訪ねる。ドラキュラはハーカーの血を吸い、次第に若さと強さを取り戻すが、ハーカーは逆に弱っていく。城の中を調べたハーカーは、ドラキュラの餌食になったアンデッド(不死の者)たちを見つけるが、ドラキュラに襲われて川に飛び込む。ハーカーは記憶を一部失って海で見つかり、ブダペストの修道院に運ばれてシスター・アガサ(ウェルズ)から尋問される……。「(TV)SHERLOCK/シャーロック」ではマイクロフト・ホームズを演じていたプロデューサーのマーク・ゲイティスが、ドラキュラの弁護士フランク・レンフィールド役で出演している。ドラキュラ役のクレス・バングは熱演しているが、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーと比べるとちょっと野暮ったく、貴族的なエレガントさに欠ける。アガサ・ヴァン・ヘルシング役のドリー・ウェルズはピーター・クッシングにちょっと雰囲気が似ている。

音楽は「(TV)SHERLOCK/シャーロック」のスコアも手がけているデヴィッド・アーノルド(1962〜)とマイケル・プライス「Opening Titles」は、不気味な呻き声を織り込んだリズミックかつスリリングなタッチのオープニング。「Mina's Theme」は、ハーカーの婚約者ミナ(クラーク)のメランコリックかつリリカルな主題。「Contaminated」「Dracula is God」「Helsing!」「What Kept You」は、ダークで不吉なタッチの曲。「Boxes of Undead」「Bats are a Little Noisy」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Vague in Parts」は、ダークなタッチのピアノをフィーチャーした不吉でトラジックな曲。「Hello Jonny」は、幻想的なコーラスを織り込んだミナの主題。「You are Jonathan Harker」は、ミナの主題から不吉なサスペンス音楽へ。「Greatest of Care」は、ミナの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Sermon」は、コーラスとオルガンをフィーチャーした荘厳な曲。「Clearing Her Throat」は、ダイナミックでパーカッシヴなサスペンスアクション音楽から後半静かにドラマティックなタッチへ。「Bad Book」は、コーラスを織り込んだメランコリックでドラマティックな曲。「The Right One」は、ダークで不吉なタッチからメランコリックな主題、コーラスを織り込んだダイナミックで不気味な主題へ展開。「Make It a Long Voyage」「Learning German」「Sentimental Stalking」「Inside Your head」は、静かにメランコリックなタッチの曲。「A Pineapple」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックなワルツ。「In the Mirror」は、静かにメランコリックな主題から不吉なサスペンス音楽へ。「Pulsing Jugular」は、リズミックでダークなサスペンス音楽からコーラスを織り込んだドラマティックな主題へ。「Fish Meat」は、ダークで不吉なタッチの主題からビジーなアクション音楽へ。「Trying to Contact You」は、リズミックでダークなサスペンス音楽。「Undisturbed」「One Less Thing」は、抑制されたサスペンス音楽。「Nothing to Lose」は、コーラスを織り込んだ静かにドラマティックな曲。「Outgrown Beauty」は、抑制されたサスペンス音楽からメランコリックでリリカルな主題へ。「That is Everything」は、静かにリリカルな主題から後半ドラマティックに盛り上がる。「The Fear」は、メランコリックかつドラマティックな曲。ダイナミックでサスペンスフルなオーケストラル・スコア。
オーケストレーションはアンソリー・ウィーデン。チェロ・ソロはティム・ギルとキャロライン・デイル、エレクトリック・チェロはピーター・グレグソン、ヴォーカルはグレース・デヴィッドソンとスムドゥ・ジャヤティラカ。
(2020年4月)

David Arnold

Michael Price

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