エアポート'77/バミューダからの脱出 AIRPORT '77

作曲・指揮:ジョン・カカヴァス
Composed and Conducted by JOHN CACAVAS

エアポート'80 THE CONCORDE... AIRPORT '79

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

(米La-La Land Records / LLLCD 1491)

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ユニヴァーサル・ピクチャーズ製作の「大空港(AIRPORT)」(1970/監督:ジョージ・シートン、出演:バート・ランカスター、ディーン・マーティン、音楽:アルフレッド・ニューマン)、「エアポート'75(AIRPORT 1975)」(1974/監督:ジャック・スマイト、出演:チャールトン・ヘストン、カレン・ブラック、音楽:ジョン・カカヴァス)に続くオールスター・キャストによる航空パニック映画シリーズ第3弾と第4弾のスコアをカップリングにしたCD2枚組セットで、いずれのスコアも初のサントラ盤リリース。3000枚限定プレス。

「エアポート'77/バミューダからの脱出(AIRPORT '77)」は、1977年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)パニック・イン・テキサスタワー」(1975)「(TV)荒野の呼び声」(1976)「レイズ・ザ・タイタニック」(1980)「(TV)レッドフォン Mission 1 暗殺計画を阻止せよ」(2001)「(未公開)捕われた女」(2015)等のジェリー・ジェームソン(1934〜)。出演はジャック・レモン、リー・グラント、ブレンダ・ヴァッカロ、ジョセフ・コットン、オリヴィア・デ・ハヴィランド、ダーレン・マクギャヴィン、クリストファー・リー、ロバート・フォックスワース、ロバート・フックス、モンテ・マーカム、キャスリーン・クインラン、ギル・ジェラード、ジェームズ・ブース、モニカ・ルイス、M・エメット・ウォルシュ、ジョージ・ケネディ、ジェームズ・ステュワート他。H・A・L・クレイグとチャールズ・キューンストルの原案を基にデヴィッド・スペクターとマイケル・シェフが脚本を執筆。撮影はフィリップ・ラスロップ。美術品収集家の大富豪フィリップ・スティーヴンス(ステュワート)は、自らのコレクションを寄贈する催しのため自家用の747ジャンボジェット機に関係者たちを乗せてパームビーチへと向かうが、離陸して間もなくジェット機がハイジャックされる。一味はジェット機をカリブの孤島に着陸させ、機内の美術品を強奪する計画だったが、天候が悪化し、海上に不時着してしまう。ジェット機が沈みゆく中、機長のドン・ギャラガー(レモン)が中心となり、生存者たちの脱出策に奔走するが……。1977年度アカデミー賞の美術監督・装置賞と衣装デザイン賞にノミネートされている。

音楽は「(未公開)ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急地獄行」(1972)「新ドラキュラ/悪魔の儀式」(1973)「(TV)刑事コジャック」(1973〜1978)「(未公開)殺人軍団ダーティ・ミッション/特攻大作戦3」(1987)「(TV)刑事コロンボ'90/超魔術への招待」(1989)等を手がけ、本シリーズの前作「エアポート'75」(1974)のスコアも担当しているジョン・カカヴァス(1930〜2014)。「Airport '77 Main Title」は、不気味なイントロからドラマティックでストイックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル。「Handbag and Banker's Makeup」「Floor Panel」「Leak in Ceiling」は、不吉なサスペンス音楽。「Cleared for Takeoff」は、ドラマティックでヒロイックなタッチの曲。「Guard Hit and Air Duct Manipulation」は、ダークなサスペンス音楽。「Plane Down」「Securing the Plane」は、ダイナミックでドラマティックなサスペンス音楽。「Julie and Steve / Briefing Search and Rescue」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Bringing Wires Together and Karen's Fright」「Plane Saved」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Skin Divers at Work」は、ドラマティックでヒロイックなサスペンス音楽。「Airport '77 End Title and End Cast」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル・エンドキャスト。最後にソース音楽のジェントルなピアノ曲「I Just Said Goodbye」を収録。メインの主題は前作「エアポート'75」の主題とかなり似た印象。

「エアポート'80(THE CONCORDE... AIRPORT '79)」は、1979年製作のアメリカ映画(日本公開は1979年12月15日で、公開題名は「'80」になっている)。監督は「(TV)ホラーフライト・悪魔の旅客機」(1972)「(TV)暴走列車/大惨事への豪雪山脈急勾配」(1973)「(TV)戦闘機対戦車」(1973)「(TV)パニック・イン・SST/デス・フライト」(1977)「(TV)新・手錠のままの脱獄」(1986)等のデヴィッド・ローウェル・リッチ(1920〜2001)。出演はアラン・ドロン、スーザン・ブレイクリー、ロバート・ワグナー、シルヴィア・クリステル、ジョージ・ケネディ、エディ・アルバート、ビビ・アンデショーン、キャロ、ジョン・デヴィッドソン、アンドレア・マルコヴィッチ、マーシャ・レイ、シシリー・タイソン、ジミー・ウォーカー、デヴィッド・ワーナー、マーセデス・マッケンブリッジ、シビル・ダニング他。アーサー・ヘイリーの原作とジェニングス・ラングの原案を基にエリック・ロスが脚本を執筆。撮影はフィリップ・ラスロップ。フェデレーション・ワールド・エアライン社が米国の航空会社として初めてコンコルドを購入。その第1号機がベテランパイロットのポール・メトラン(ドロン)の操縦でパリを飛び立ち、ワシントンのダレス空港を目指していた。この機はワシントンで乗客を乗せた後、翌年にオリンピックが開催されるモスクワまでの親善飛行が予定されていた。人気テレビキャスターのマギー・ウェラン(ブレイクリー)のニュースショーでは、このコンコルドの話題とともに、彼女の恋人であるケヴィン・ハリソン博士(ワグナー)が社長を務めるハリソン産業が新型攻撃ミサイルの開発に成功したとのニュースが報道されていた。ハリソン産業が武器の不法輸出を行なっているとの内部告発を受けたマギーは、その証拠書類を入手してモスクワ行きのコンコルドに乗り込む。それを知ったハリソンは、新型攻撃ミサイルによりマギーの乗ったコンコルドを撃墜しようとするが……。米ABCで1982年に本作品がテレビ放映された際には、ホセ・ファーラー、J・D・キャノン、アラン・ファッジ等の追加キャストにより約20分のシーンが新たに撮影されて追加されている。

音楽はラロ・シフリン(1932〜)が作曲しており、これは彼が「テレフォン」(1977)「オフサイド7」(1979)「悪魔の棲む家」(1979)といったサスペンス、アクション、ホラー等の傑作スコアを手がけていた時期の作品。「The Concorde… Airport '79 Main Title」は、サスペンスフルなイントロからファンファーレに続いてダイナミックでヒロイックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル。シフリンのオーケストラル・スコアの中でもスケールの大きさとダイナミックさが際立った傑作。「Majestic Bird」は、メインの主題の大らかなアレンジメント。「Love Rhapsody」は、ジェントルでリリカルなラヴ・テーマ。「Weapons」「Supersonic Confrontation」「Violent Aerobatics」「Engine Power Off」「The Net Springs Up」は、シフリンらしいハイテンションなサスペンス音楽。「K.H.」「Confidential」は、抑制されたサスペンス音楽。「Welcome Aboard」はいかにも70年代風の軽快なディスコ曲。「The Concorde Taxis」は、メインの主題のバリエーション。「The Drone / I'll See You in Paris」「Countdown and Malfunction」「Pressure Sealing」「Number Seven / Altimeters / Cargo Door」「The Alps」等も、ソリッドなサスペンス音楽。「Let's Try Again」は、ラヴ・テーマのピアノとストリングスによる演奏。「Chase at the Airport」「Out of Control」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Fighting the Crosswinds」「Snow, Fire and Rescue」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「End Credits」は、メインの主題とラヴ・テーマをフィーチャーしたエンドクレジット。最後にソース音楽の「Love Rhapsody (Alternate)」「Dancing in the Clouds」「Gymnastics」を収録。ラロ・シフリン作曲のオーケストラによるサスペンススコアの中ではベストの1つだろう。

このスコアは、1979年に米MCAレーベルがメインテーマ(このCD収録の「End Credits」)とラヴ・テーマを収録したプロモーション用のシングル盤(MCA Records / MCA 41110)をリリースしていた他、シフリン自身が主宰するAlephレーベルが2012年にリリースしたシフリンの作品集「LALO SCHIFRIN: MY LIFE IN MUSIC」(Aleph Records / 047)に2007年のパリでのコンサートで演奏された約6分の組曲が収録されているが、サントラ音源の公式なリリースはこれが初めてで、ファンにとっては貴重なリリース。
(2018年12月)

John Cacavas

Lalo Schifrin

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