沈黙の要塞 ON DEADLY GROUND

作曲・指揮:ベーシル・ポールドゥーリス
Composed and Conducted by BASIL POLEDOURIS

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米Varese Sarabande / VCL 1018 1189)

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1994年製作のアメリカ映画。製作・監督・主演は「刑事ニコ/法の死角」(1988)でアクション俳優としてデビューし、「沈黙の戦艦」(1992)がヒットしたことでその後の大半の主演作品の日本公開題名に“沈黙”がつけられているスティーヴン・セガール(1952〜)で、彼は「沈黙シリーズ第3弾/暴走特急」(1995)に出演することの条件として、この「沈黙の要塞」を自ら監督することをワーナーに要求したという。共演はマイケル・ケイン、ジョアン・チェン、ジョン・C・マッギンリー、R・リー・アーメイ、シャリ・シャタック、ビリー・ボブ・ソーントン、リチャード・ハミルトン、アーヴィン・ブリンク、アパングルク・チャーリー・カイライウアク、エルシー・ピストルヘッド、ジョン・トゥルーデル、マイク・スター、スヴェン=オリ・トールセン、アーヴィン・カーシュナー他。脚本はエド・ホロウィッツとロビン・U・ラシン。撮影はリック・ウェイト。アラスカのイヌイット湾に巨大な石油コンビナートを持つイージス石油会社は、石油採掘権を巡り先住のイヌイット族と対立していた。石油炎上事故消火の専門家フォレスト・タフト(セガール)の同僚ヒュー・パーマー(ハミルトン)が何者かに惨殺されるが、それは私欲のためなら自然破壊もいとわない冷徹なイージスの社長マイケル・ジェニングス(ケイン)の陰謀を知ってしまったためだった。ジェニングスの右腕マクグルーダー(マッギンリー)率いる男たちは、次にフォレストの命を狙うが、彼らを撃退したフォレストは、イヌイット族の娘マース(チェン)に助けられる……。ラストでセガール演じるフォレストが環境保護国際会議の席上で延々と演説をぶつシーンがあり、当初は40分もあったらしいがワーナーが短縮を要求し、約7分までカットされた(それでも長いが)。製作費は約5000万ドル、米国興行収入は約3859万ドル。スティーヴン・セガールが1994年度ゴールデン・ラズベリー賞のワースト監督賞を見事(?)受賞している。1986年に米国留学していた際、L.A.でセレブ相手に合気道を教えていた映画デビュー前のセガールに彼の道場で会ったことがあるが、奇妙な関西弁の日本語を話すもの静かな大男、という印象だった(合気道のデモンストレーションはさすがに迫力があったが)。

音楽は「沈黙シリーズ第3弾/暴走特急」(1995)のスコアも手がけているベーシル・ポールドゥリース(1945〜2006)。「Main Titles」は、静かなイントロからストイックでドラマティックなタッチのメインの主題へと展開するメインタイトル。このポールドゥリースらしい主題は「Forrest Found」「The Journey」「Lights Out」等でも登場する。「Aegis Flameout」「Fire Out」「Gunfight At Hugh's」「Forrest Enters Aegis」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「Forrest Doesn't Fight」「Chief Meets Forrest」は、ジェントルなタッチの曲。「Kill Hugh」は、ストイックでリズミックな曲。「Hugh Torture」「Forrest Blown Up」は、抑制されたサスペンス音楽から後半ダイナミックに盛り上がる。「The Chief Is Shot」は、ダイナミックなイントロからストイックでドラマティックなタッチへ。「Snowmobile Ride」「Horse Chase」は、メインの主題を織り込んだダイナミックなアクション音楽。「The Mercs / Forest Decides」は、メランコリックでドラマティックな主題から後半ダイナミックに盛り上がる。「Safe House / Chopper Explosion」「Mutiny / Setting The Bombs」「Jennings Goes Down (Extended Version)」は、スリリングでダイナミックなサスペンスアクション音楽。「The Warning」は、メランコリックかつドラマティックな曲。「End Credits」は、メインの主題によるエンドクレジット。最後に追加音楽として代替テイク「The Journey (Alternate Segment)」と製作会社のロゴ音楽「Seagal/Nasso Logo」を収録。ベーシル・ポールドゥリースが得意とする骨太なアクション・スコア。

このスコアは公開当時にVarese Sarabandeレーベルが全7曲/約29分収録のサントラCDを出していたが、今回同じVareseがリリースした「The Deluxe Edition」は未発表曲を含む全24曲/約78分収録の拡張盤で、2000枚限定プレス。
(2018年12月)

Basil Poledouris

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