プラトーン PLATOON

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by GEORGES DELERUE

演奏:ヴァンクーヴァー交響楽団
Performed by the Vancouver Symphony Orchestra

(スペインQuartet Records / QR311)

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1986年製作のアメリカ映画(日本公開は1987年4月)。監督・脚本は「サルバドル/遥かなる日々」(1986)「ウォール街」(1987)「7月4日に生まれて」(1989)「JFK」(1991)「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994)「ニクソン」(1995)「ワールド・トレード・センター」(2006)「野蛮なやつら/SAVAGES」(2012)「スノーデン」(2016)等のオリヴァー・ストーン(1946〜)。出演はチャーリー・シーン、トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、ケヴィン・ディロン、フォレスト・ウィテカー、フランチェスコ・クイン、ジョン・C・マッギンレー、キース・デヴィッド、デイル・ダイ、ジョニー・デップ、リチャード・エドソン、ポール・サンチェス、レジー・ジョンソン、マーク・モーゼス、コーリー・グローヴァー他。撮影はロバート・リチャードソン。オリヴァー・ストーン監督の実体験を基にヴェトナム戦争の最前線をリアリスティックに描いた作品。クリス(シーン)がヴェトナムへやって来たのは1967年。大学を中退してまで志願したのは、次々と徴兵されていく同年代の若者たちが少数民族や貧しい者ばかりだった事に対する義憤からだったが、いきなり最前線の戦闘小隊に配属されたクリスにとって、戦争の現実は彼の想像をはるかに超えた苛酷なものだった。小隊長バーンズ(ベレンジャー)は冷酷非情な歴戦の強者。一方、班長のエリアス(デフォー)は戦場にありながらも無益な殺人を犯してはならないという信念の持ち主だった。様々な個性を持つ兵士たち13人の小隊は、戦場の真っ只中に放り込まれる……。1986年度アカデミー賞の助演男優賞(ウィレム・デフォー、トム・ベレンジャー)、脚本賞、撮影賞にノミネートされ、同賞の作品賞、監督賞、音響賞、編集賞を受賞している他、同年のゴールデン・グローブの作品賞(ドラマ)、助演男優賞、監督賞、インディペンデント・スピリット賞の作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞、1987年度ベルリン国際映画祭の監督賞、同年の英国アカデミー賞の監督賞、編集賞を受賞している。

音楽は「サルバドル/遥かなる日々」(1986)でもオリヴァー・ストーン監督と組んでいるフランスの作曲家ジョルジュ・ドルリュー(1925〜1992)。「The Village (Orchestra Only)」は、アメリカの作曲家サミュエル・バーバー(1910〜1981)の「弦楽のためのアダージョ Op.11」を引用した情感豊かで美しい曲。「Main Title」は、ジェントルかつドラマティックなメインの主題。この主題は「Rejoice in thy Youth」「Base Camp」「Charlie's Sorrow」「Carrying the Children / Time We Got Ours Kicked / Sun and Rain」「The Soul of an Innocent」「Mass Grave」等でも繰り返される。「Grunts in the Rain」「Maybe I Found It / Ambush」「Bunker to Village (Film Version)」「Enemy Prep」「Killing Barnes」は、ダークで不気味なサスペンス音楽。「The Enemy Was in Us」「Barnes Shoots Elias (Film Version)」は、尺八をフィーチャーしたサスペンス音楽。「The Turning Point」は、ハイテンションなサスペンス音楽。「Finale and End Title」は、メインの主題によるトラジックでドラマティックなフィナーレとエンドタイトル。最後に追加トラックとして代替テイクや公開当時にリリースされたサントラ盤に収録されていた3トラック等9曲を収録。戦場での不気味な情景を描写するためにバス・フルート、篠笛、尺八、チャイニーズ・ウッドブロックといった楽器をフィーチャーしている。

この映画を編集したクレア・シンプソンがテンプ・トラックにサミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」をつけていたため、ドルリューはこれに対応して彼オリジナルのアダージョを作曲したが、ストーン監督はドルリューのオリジナル曲をリジェクトしてバーバーのアダージョを使うように指示した。ドルリューは自らの指揮でバーバーのアダージョを録音したが、オープニングのクレジットに作曲家として名前を出すことを拒否し(エンドクレジットには出る)、ストーンと二度と組むことはなかった。

公開当時にAtlantic Recordsレーベルが当時のロック曲や「バーバーのアダージョ」等を収録したサントラ盤を出しており、その後1995年にベルギーのPrometheusレーベルが「サルバドル/遥かなる日々」から12曲、「プラトーン」から8曲のスコアを収録したCDをリリースしているが、このQuartet RecordsのCDは未使用曲を含むコンプリート・スコアの初リリースで、1000枚限定プレス。
(2018年5月)

Georges Delerue

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