ベッツィー  THE BETSY

作曲:
ジョン・バリー
Composed by JOHN BARRY

指揮:
ニック・レイン
Conducted by NIC RAINE

演奏:
プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra

(ベルギーPrometheus / XPCD 177)2014

★TOWER.JPで購入


1978年製作のアメリカ映画。監督は「深海征服」(1973)「アパッチ砦・ブロンクス」(1981)「コクーン2/遥かなる地球」(1988)「(TV)奇跡の翌日/その後のヘレン・ケラーとアニー・サリバン」(1998)「(TV)アイリス」(2001)等のダニエル・ペトリ(1920〜2004)。出演はローレンス・オリヴィエ、ロバート・デュヴァル、キャサリン・ロス、トミー・リー・ジョーンズ、ジェーン・アレクサンダー、レスリー=アン・ダウン、ジョセフ・ワイズマン、キャスリーン・ベラー、エドワード・ハーマン、ポール・ラッド、ロイ・プール、リチャード・ヴェンチャー、ティトス・ヴァンディス、クリフォード・デヴィッド、インガ・スウェンソン他。「大いなる野望」(1964)「ネバダ・スミス」(1966)「(TV)燃える世界の男」(1978)「(TV)ドリーム・マーチャント/夢を売る男」(1980)等のハロルド・ロビンズ(1916〜1997)の原作を基にウォルター・バーンスタインとウィリアム・バストが脚本を執筆。撮影はマリオ・トシ。半世紀に及ぶデトロイトの自動車会社の一族を舞台に、そこに渦巻く人々の愛と憎悪と謀略を描いたドラマ。事故で病院に担ぎこまれたレーサーのアンジェロ・ペリーノ(ジョーンズ)は、ベッツィー(ベラー)と名乗る美少女の訪問を受ける。彼女はデトロイトの自動車王ハードマン一族の相続人の1人であり、曽祖父のローレン・ハードマン(オリヴィエ)が面会を希望していると伝えにきたという。フロリダのハードマン邸に招かれたアンジェロは、経営不振に陥っているベツレーム・モーターズ社を再起させるため、新型のガスタービン・エンジンを採用した小型・軽量・低燃費の無公害車“ベッツィー”の新規開発に技術者の立場で協力してほしいと要請される。アンジェロはこれを承諾するが、デトロイトの本社一派は新車開発に反対しており、ローレンの孫で現社長のハードマン三世(デュヴァル)らは、同社のヒット車『サンダンサー』の継続生産を主張していた……。原作者のハロルド・ロビンズはローレン・ハードマン役にジョン・ウェイン、アンジェロ役にフランク・シナトラを希望していたという。アカデミー賞の前夜にその年最低の映画を決める「ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)」の考案者であるジョン・ウィルソンが書いた『THE OFFICIAL RAZZIE MOVIE GUIDE』で“最高に楽しい最低映画100本(The 100 Most Enjoyably Bad Movies Ever Made)”の1本に選ばれている。

音楽はジョン・バリー(1933〜2011)が作曲しており、このCDは過去にバリーのスコアを何度も再録音しているニック・レイン=プラハ市フィルの演奏によるコンプリート・スコアの新録音盤(サントラ音源は現時点でリリースされていない)。「The Betsy Main Title」は、メランコリックなタッチのピアノ・ソロのイントロから優雅で情感豊かな“バリー節”のメインの主題へと展開するメインタイトル。このメインの主題は「Crash / To the Mansion」「He and She / Call It Betsy / Its the Car」「Bobby Visits / Back on Payroll」「What Took You So Long? / A Toast」「What Took You So Long?」等で何度も繰り返される。「Multi Image」は、いかにもバリーらしいドラマティックでダイナミックな曲。「Angelos Theme」は、サックスをフィーチャーしたジェントルなアンジェロの主題。「Win One, Lose One / You Always Know」は、優雅でジェントルな主題から後半メランコリックなタッチへ。「Grandfather / Its All in the Family / Working on Betsy」は、メランコリックな主題からメインの主題のワルツ調のアレンジメントへ。「Blackmail / What Happened? / Lorens Suicide」は、メランコリックなタッチの曲。「In Bed」「Angelo Is Beaten / Warrens Murder」「Samson Gets It / Angelo Takes Over」は、ドラマティックで重厚なサスペンス音楽。「The Betsy End Credits」は、メインの主題のワルツ調によるエンドクレジット。ジョン・バリーらしいドラマティックで情感豊かなスコアで、演奏も流麗。
(2015年9月)

John Barry

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2015  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.