(未公開)ホールド・アップ  HOLD-UP
(未公開)タンジール/復讐の熱い夏…1956  DERNIER ETE A TANGER

作曲:セルジュ・フランクリン
Composed by SERGE FRANKLIN

(仏Music Box Records / MBR-044)

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「熱砂に抱かれて」(1991)「流血の絆」(1993)「世界で一番好きな人」(1995)等のアレクサンドル・アルカディ監督(1947〜)と、フランスの作曲家セルジュ・フランクリン(1942〜)のコラボレーション作品2本をカップリングにしたCD。同じMusic Boxレーベルからアルカディ監督=フランクリン音楽の「(未公開)流血の絆/野望篇(LE GRAND PARDON)」のCD(MBR-005)と、「(未公開)LE GRAND CARNAVAL」「(未公開)LE COUP DE SIROCCO」をカップリングにしたCD(MBR-029)が出ていたが、これらに続くリリース。

「(未公開)ホールド・アップ(HOLD-UP)」は、1985年製作のフランス=カナダ合作映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済み)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、キム・キャトラル、ギイ・マルシャン、ジャン=ピエール・マリエール、ジャック・ヴィユレ、ジャン=クロード・ドゥ・ゴロ、テックス・コーニッグ、レイモン・アキロン、ジョルジュ・キャレール、イヴ・ポントン、ギイ・プロヴォ、ギヨーム・ルメ=ティヴィアージュ、リシャール・ニケット、イヴ・ジャック、ソフィー・スタンク他。ジェイ・クロンリーの原作『Quick Change』を基にアレクサンドル・アルカディ、ダニエル・サン=アモンとフランシス・ヴェベールが脚本を執筆。撮影はリシャール・シウプカ。ピエロの扮装をしたグリム(ベルモンド)はモントリオールの厳重に警備された銀行を襲撃し、30人の人質を取る。突飛な行動で警察を混乱させて見事銀行強盗に成功するが、逃亡の過程で彼に不満を持つ仲間のためにトラブルに巻き込まれる……。ベルモンドが撮影中のスタントで大怪我をしたことでも知られる。同じ原作が1990年にアメリカで「(未公開)クイックチェンジ(QUICK CHANGE)」(監督・主演:ビル・マーレイ、共演:ジーナ・デイヴィス、ランディ・クエイド、ジェイソン・ロバーズ、音楽:ランディ・エデルマン)として映画化されている。

セルジュ・フランクリンのスコアは、冒頭の「Hold-Up」が、レナ・スコットのヴォーカルによるストイックなタッチの主題歌。「Liza's Road」「Motel Blues」は、ライトで爽やかなタッチの曲。「Quick Change」は、ややミステリアスなタッチの曲。「Depanneuse Rock」は、明るくアップビートな曲。「Running Wild」は、ジャン・ロセスのヴォーカルによるカントリー。「Funky Lasky」は、ややストイックなタッチのファンク。「Grimm Circus」は、コミカルなタッチのサーカス音楽。「Cascade」は、ダイナミックでアップビートな曲。「In Bank」は、ストイックなタッチの曲。「Speak-easy Blues」は、ライトなジャズ・ピアノ。「Hold-Up (Instrumental)」は、メインの主題のインストゥルメンタル版。アメリカの原作小説を映画化していることから(原作の舞台はニューヨーク)、アメリカを意識したロック、カントリー、ファンク、ブルース等をベースにしたスコアを展開。

「(未公開)タンジール/復讐の熱い夏…1956(DERNIER ETE A TANGER)」は、1987年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は『LAST SUMMER IN TANGIERS』/日本では劇場未公開でビデオ発売済み)。出演はヴァレリア・ゴリノ、ティエリー・レルミット、ロジェ・アナン、ヴァンサン・ランドン、ジャック・ヴィユレ、ジャン・ブイーズ、ジュリアン・ギオマール、アンナ・カリーナ、ジャン=クロード・ドゥ・ゴロ、ナタリー・クールヴァル、サイード・アマディス、ルイジ・ディベルティ、レイモン・アベカシス、マルク・サミュエル、クリスチャン・フェラ他。『その向こうは―闇』でアメリカ探偵作家クラブによる1959年度エドガー賞の短編賞を受賞したミステリ作家ウィリアム・オファレルの原作『Au diable son du』を基に、アレクサンドル・アルカディ、アラン・ル・アンリとティト・トパンが脚本を執筆。撮影はロベール・アラズラキ。子供の頃に目の前で殺された父親の復讐を果たそうとする美女クラウディア・マルケッティ(ゴリノ)と、国際犯罪組織のボス、ウィリアム・バレス(アナン)を追う刑事リチャード・コリガン(レルミット)を描く犯罪ドラマ。

セルジュ・フランクリンのスコアは、「Io racontero」が主演のヴァレリア・ゴリノのセンシュアルなヴォーカルによる主題歌。「Au bout de la nuit」「Filature」は、ポール・ベイルによる気だるいサックスとギターをフィーチャーしたストイックなタッチの曲。「L'an prochain a Jerusalem」「Une terrasse au soleil」は、メランコリックな曲。「Hollywood Palace」は、ビッグバンド・ジャズ。「The Man I Love」「Blue Moon」は、アンナ・カリーナのヴォーカルによる英語のスタンダード曲(前者はジョージ・ガーシュウィン、後者はリチャード・ロジャース作曲)。「Laura」は、ギターをフィーチャーしたジェントルな曲。「Mei memorei」「Une boite a musique」「Vengeance」は、ストイックなサスペンス音楽。「Brooklyn Bridge」は、ライトなジャズ。「La corniche」「Lagrima de sangre」は、ストイックなタッチの曲。「La maison abandonnee」「Dernier ete」「Gibraltar」は、ドラマティックな曲。

この2作品のスコアは公開当時に各々仏Carrereレーベルと仏MCTレーベルからサントラLPが出ていたが、「(未公開)ホールド・アップ」はLPと同じ内容、「(未公開)タンジール/復讐の熱い夏…1956」は未発表曲を加えた内容で、いずれも初CD化。500枚限定プレス。
(2014年5月)

Serge Franklin

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