探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!  I, THE JURY

作曲・指揮:ビル・コンティ
Composed and Conducted by BILL CONTI

(米La-La Land Records / LLLCD 1275)

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1982年製作のアメリカ映画。監督は「トラックダウン」(1976)「未来世界」(1976)「(TV)南北戦争物語 愛と自由への大地」(1985)「(TV)ダニエル・スティール/タイタニック」(1996)等のリチャード・T・ヘフロン。出演はアーマンド・アサンテ、バーバラ・カレラ、ローレン・ランドン、アラン・キング、ジェフリー・ルイス、ポール・ソルヴィノ、ジャドソン・アーニー・スコット、バリー・スナイダー、ジュリア・バー、ジェシカ・ジェームズ、フレデリック・ダウンズ、メアリー・マーガレット・アマート、F・J・オニール、ウィリアム・G・シリング、ロバート・セヴラ他。ミッキー・スピレイン(1918〜2006)の原作『裁くのは俺だ』を基に、「悪魔の赤ちゃん」(1973)「(未公開)空の大怪獣Q」(1982)等の監督・脚本や「続・荒野の七人」(1966)「ギルティ/罪深き罪」(1992)「フォーン・ブース」(2002)等の脚本、「(TV)刑事コロンボ/別れのワイン」(1973)「セルラー」(2004)等の原案を手がけているラリー・コーエンが脚本を執筆。撮影はアンドリュー・ラズロ。私立探偵マイク・ハマー(アサンテ)のヴェトナム戦争時代の親友ジャックが下腹部を撃ち抜かれるという残酷な方法で殺された。復讐を誓ったマイクは、殺人課の刑事パット・チェンバーズ(ソルヴィノ)の忠告を無視して事件の調査を開始。ジャックがシャーロット・ベネット医師(カレラ)が主宰するセックスクリニックヘ通っていたことや、最近大きな儲け話を見つけたらしいことを突きとめたマイクは、ジャックの戦友ジョー・バトラー(ルイス)を訪ね、彼が元CIAのロメロ大佐(スナイダー)に近づいていたことを知る。ロメロはヴェトナムで特殊な薬を使ってある洗脳を行なっていた……。ミッキー・スピレイン原作の“私立探偵マイク・ハマー”シリーズは、1955年の「キッスで殺せ!(KISS ME DEADLY)」(監督:ロバート・アルドリッチ/出演:ラルフ・ミーカー、クロリス・リーチマン他)、1957年の「(未公開)偽装の女・闇の中の捜査網(MY GUN IS QUICK)」(監督:ジョージ・ホワイト、フィル・ヴィクター/出演:ロバート・ブレイ、ウィットニー・ブレイク他)等で映画化されている他、ステイシー・キーチ主演のTV映画「(TV)私立探偵マイク・ハマー1/殺しの陰謀(MURDER ME, MURDER YOU)」(1983/監督:ゲイリー・ネルソン)、「私立探偵マイク・ハマー2/殺しの罠(MORE THAN MURDER)」(1984/監督:ゲイリー・ネルソン)、「私立探偵マイク・ハマー3/殺しの賭け(MURDER TAKES ALL)」 (1989/監督:ジョン・ニコレラ)が製作されている。

音楽はビル・コンティが作曲。マイケル・ラングのピアノ、アンソニー・オルテガのサックス、デニス・バディミアーのギター、チャック・ドマニコのベース、スティーヴ・シェーファーのドラムスをフィーチャーしたオーケストラによる演奏。「Main Title」は、パワフルでアップビートなメインタイトルで、ダイナミックなブラスが「ロッキー」風。「Stomach Ache」「Velda's Vamp」は、ストイックなサスペンス音楽。「Wooden Arm」「Buddy's Brochure」は、気だるいサックスをフィーチャーしたややメランコリックな曲。「Widow's Wake / Window Watcher / Tails Tale」は、ジャズ・ベースのサスペンス音楽でなかなか快調。「Rummy Run」は、ストイックなタッチのサスペンス音楽から、後半スリリングなビッグバンドジャズに展開。ジェリー・フィールディングのアクション・スコアに通ずるタッチで実にかっこいい。「Mike to Set」は、ダイナミックなジャズ。「Special Effects」「Hacking」「Closet Cache」「Kendrick's Taxi Time」「Pleading Bleeding Velda」は、ストリングス主体のオーケストラによるサスペンス音楽。「Pat's Patsy」は、ミリタリスティックなスネアドラム入りの抑制されたサスペンス音楽。「Beni Hana Bounce」は、タイトル通り奇妙にオリエンタルなタッチ。「Chopin Nocturne / Stairway to Surrogate」は、ピアノ・ソロによるショパンのノクターンから後半ダークでメランコリックな主題へ。「Kendrick's Apt. Approach / Velda's Vain Effort」は、アップビートなジャズによるサスペンスアクション音楽。「Michael's Taxi Ride」「Concrete Chase Conclusion」は、スリリングなビッグバンドジャズ。一部のフレーズはコンティの「F/X 引き裂かれたトリック」のスコアでも流用されている。「Daisy Cuttings」は、重厚なサスペンス音楽。「Mike's Early Exit」「Two Guard Takedown」は、「007/ユア・アイズ・オンリー」風のアップビートなジャズ。「Romero's Wrong Way」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「End Credits」 は、メインの主題のリプライズによるエンドクレジット。最後にボーナストラックとして代替テイクやタイトル不明の曲等8曲を収録。「ロッキー」や「007/ユア・アイズ・オンリー」に通ずるアップビートなジャズ・ベースのサスペンスアクション音楽で、ビル・コンティのファンには嬉しいリリース。このスコアの初リリースで、2000枚限定プレス。
(2013年10月)

Bill Conti

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