悪魔の赤ちゃん IT'S ALIVE

作曲・指揮:バーナード・ハーマン
Composed and Conducted by BERNARD HERRMANN

(米Film Score Monthly / FSMCD Vol.15 No.2)

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1973年製作のアメリカ映画(日本初公開は1974年9月)。製作・監督・脚本は「(未公開)悪魔の赤ちゃん2」(1978)「(未公開)空の大怪獣Q」(1982)「(未公開)悪魔の赤ちゃん3/禁断の島」(1986)「ビリー・ディー・ウィリアムス/殺しのイリュージョン」(1987)「(TV)私を狙うのは誰」(1994)「(未公開)ホットシティ」(1996)「(TV)ハンティング」(2005)等のラリー・コーエン。出演はジョン・P・ライアン、シャロン・ファレル、ジェームズ・ディクソン、ウィリアム・ウェルマン・Jr、シェイマス・ロック、アンドリュー・ダガン、ガイ・ストックウェル、ダニエル・ホルツマン、マイケル・アンサラ、ロバート・エムハート、ナンシー・バーネット、パトリック・マカリスター他。撮影はフェントン・ハミルトン。特殊メイクは「スター・ウォーズ」(1977)「狼男アメリカン」(1981)「メン・イン・ブラック」(1997)「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(2001)「ウルフマン」(2010)等の名手リック・ベイカー。ロサンゼルスに住む中流階級の平凡な夫婦フランク(ライアン)とレノーア(ファレル)には11歳の息子クリスがいたが、ようやくできた2人目の子供の産月が近い今、一家はささやかな喜びにひたっていた。やがてレノーアの陣痛が始まり、フランクはクリスを友人宅に預け、妻を病院に連れていく。だが、生まれてきたのは怪奇な姿をした異様な生物で、その怪物はお産に立ち合った医師や看護婦らを惨殺し、分娩室から姿を消した……。アルフレッド・ヒッチコック監督を尊敬するラリー・コーエン監督は、当初「サイコ」の出演者であるアンソニー・パーキンスとジャネット・リーを夫婦役にキャストしようと考えていた。1975年度アボリアッツ・ファンタスティック映画祭の審査員特別賞を受賞。ラリー・コーエン製作・監督・脚本による続編「(未公開)悪魔の赤ちゃん2(IT LIVES AGAIN)」(1978)「(未公開)悪魔の赤ちゃん3/禁断の島(IT'S ALIVE III: ISLAND OF THE ALIVE)」(1986)が製作されている他、2008年に「ダニエル 悪魔の赤ちゃん(IT'S ALIVE)」(監督:ジョセフ・ラスナック/出演:ビジュー・フィリップス、ジェームズ・マーレイ他)としてリメイクされている。原題の「IT'S ALIVE!」は、ホラーの古典「フランケンシュタイン」(1931)で怪物が再生されるシーンの有名なセリフ。

音楽は、フランソワ・トリュフォー監督の「華氏451」(1966)「黒衣の花嫁」(1968)ブライアン・デ・パルマ監督の「悪魔のシスター」(1973)「愛のメモリー」(1976)マーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」(1976)等を手がけていた晩年のバーナード・ハーマン(1911〜1975)が作曲しており、彼のキャリアでは最後から3番目のスコア。クラリネット×6、フレンチホルン×8、トランペット×6、トロンボーン×6、チューバ×2、ハープ×2、ムーグシンセサイザー、エレクトリック・ベースギター、オルガン、パーカッションにヴィオラ・ダモーレを加えた特殊な編成によるオーケストラによる演奏。「It's Alive (Main Title)」は、オーケストラとシンセサイザーによる不気味なホラー調のメインタイトル。「The Delivery / Something Small」は、ダークでパーカッシヴな曲。「I'll See You In the Morning / The Father Returns Home / Cry Baby」「Frank Visits Basement」「Davis Arrives at School / Something in the Room」「Two Policemen / Another Victim」「Frank Refrigerates the Milk」「Restless Night / Where's Lenore? / Someone's Thirsty」「Where's Chris or Someone?」「Empty Fridge / Father Stalks Baby」「Charley's Dead」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Murdered Boy / Getting Ready for Fishing Trip / The Milkman Goeth」「Raid on the School」「Kill It / Sad Reunion / End Title」等は、ハーマンらしい重厚なサスペンス音楽。「Your Kid Goes Here」「Father Continues Search」「Father and Child / Father Protects Child」等は、ダークなタッチ。「More Searching / Frank Waits」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Father Runs With Child / Father Keeps Running With Child」は、シンセサイザーとオーケストラによる重厚なサスペンス音楽。シンプルなフレーズの積み重ねによる短いサスペンス音楽の連続が、いかにもハーマンらしい。このスコアの初サントラ化。3000枚限定プレス。
(2012年4月)

Bernard Herrmann

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