キリング・ミー・ソフトリー KILLING ME SOFTLY

作曲:パトリック・ドイル
Composed by PATRICK DOYLE

指揮:ジェームズ・シャーマン
Conducted by JAMES SHEARMAN

(スペインQuartet Records/ QRSCE030)

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2001年製作のアメリカ=イギリス合作映画(日本初公開は2002年2月)。監督は「さらば、わが愛/覇王別姫」(1993)「始皇帝暗殺」(1998)「北京ヴァイオリン」(2002)「PROMISE プロミス」(2005)「花の生涯〜梅蘭芳」(2008)等の中国人チェン・カイコー(陳凱歌)で、これは初の英語作品。出演はヘザー・グラハム、ジョセフ・ファインズ、ナターシャ・マッケルホーン、ウルリッチ・トムセン、イアン・ハート、ジェイソン・ヒューズ、キカ・マーカム、エイミー・ロビンス、ヤスミン・バナーマン、レベッカ・R・パルマー、ローナン・ヴィバート、オリヴィア・プーレ、イアン・アスピノール他。ニッキ・フレンチ(ニッキ・ジェラードとショーン・フレンチ夫妻のペンネーム)の原作『優しく殺して』を基にカーラ・リンドストロムが脚本を執筆。撮影はマイケル・クールター。製作総指揮に「ゴーストバスターズ」(1984)「キンダガートン・コップ」(1990)「デーヴ」(1993)「抱きたいカンケイ」(2011)等の監督アイヴァン・ライトマンが参加している。ロンドンに住むウェブサイトデザイナーのアメリカ人アリス(グラハム)は、同棲中の恋人ジェイク(ヒューズ)とそれなりに幸せな毎日を送っていたが、ある朝出勤途中の交差点で見知らぬ男アダム(ファインズ)を見かけ、彼のことが頭から離れなくなる。会社を飛び出してアダムの後を追ったアリスは、誘われるままに彼の家に行き、これまでに味わったことのない激しい愛の営みに溺れていく。ジェイクと別れたアリスは有名登山家だったアダムと結婚するが、アダムの愛情表現は次第に異常な様相を帯び、死の危険をはらむ性行為を繰り返すようになる。やがてアリスは、レイプ事件や失踪事件などアダムの隠された過去を知るようになる……。

音楽はイギリスのベテラン、パトリック・ドイルが作曲。「Front Titles」は、ミステリアスでややセンシュアルなタッチのメインタイトル。「Alice and Jake」は、ジェントルで快活なタッチのアリスとジェイクの主題。「Traffic Light」「Waiting for Adam (Original Version)」「Climbing the Wall」「“It Was a Mistake to Marry Him”」「The Necklace」「Faxes」「Michelle's Story」「Who Is Michelle Stowe?」「High Suspicions」等は、ミステリアスなタッチの曲。「The Library」は、サスペンスフルでセンシュアルなタッチ。「First Fling (Original Version)」「Alice Leaves Jake」は、ドラマティックな曲。「Don't Turn Away」「The Wedding」「Two Years Later」は、ジェントルな曲。「His Name Is Adam Tallis / Alice Returns」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「The Mugging」は、ビジーなサスペンスアクション音楽から後半はジェントルな主題に。「Honeymoon Trek」「Silk Scarf (Bondage)」「Alice Bound (Original Version)」「Two Way Mirror (Original Version)」等は、サスペンス音楽。「Adele's Letters」は、ミステリアスなタッチから後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Alice Escapes」は、ビジーなサスペンスアクション音楽。「The Graveyard」は、サスペンス調から後半ダイナミックに盛り上がる。「End Titles」は、ストイックなタッチから後半ジェントルな主題に展開するエンドタイトル。ストリングス主体の、美しく繊細かつサスペンスフルなスコアで、かつてのヒッチコック作品でのバーナード・ハーマンのスコアを想起させる(ドイル本人はあまりハーマンを意識しなかったというが)。このスコアの初CD化(コンプリートスコア)で、1000枚限定プレス。
(2011年8月)

Patrick Doyle

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