海流のなかの島々 ISLANDS IN THE STREAM

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Film Score Monthly / FSMCD Vol.12 No.20)

 ★TOWER.JPで購入

 ★AMAZON.CO.JPで購入(Download) 


1977年製作のアメリカ映画。監督は「七月の女」(1963)「大将軍」(1965)「ダブルマン」(1967)「猿の惑星」(1968)「パットン大戦車軍団」(1970)「ニコライとアレクサンドラ」(1971)「パピヨン」(1973)等のフランクリン・J・シャフナー。出演はジョージ・C・スコット、デヴィッド・ヘミングス、ギルバート・ローランド、ハート・ボックナー、スーザン・ティレル、リチャード・エヴァンス、クレア・ブルーム、ジュリアス・ハリス、ブラッド・サヴェッジ、マイケル=ジェームズ・ウィクステッド、ヒルディ・ブルックス、ジェシカ・レインズ、ウォルター・フリーデル、チャールズ・ランプキン他。「誰が為に鐘は鳴る」(1943)「脱出」(1944)「殺人者」(1946)「キリマンジャロの雪」(1952)「武器よさらば」(1957)「陽はまた昇る」(1957)「老人と海」(1958)「青年」(1962)「殺人者たち」(1964)等の映画化作品で知られるアーネスト・ヘミングウェイ(1899〜1961)の自伝的小説(死後の1970年に出版)を基に、デニー・バート・ペティットクラークが脚本を執筆。撮影はフレッド・J・コーネカンプ。第二次大戦初頭のバハマを舞台に、初老の彫刻家トーマス・ハドソン(スコット)の人生観を描くドラマで、バカンスにやって来た3人の息子たちトム(ボックナー)、デヴィッド(ウィクステッド)、アンドリュー(サヴェッジ)との交流と葛藤(The Boys)、別れた最初の妻オードリー(ブルーム)の突然の訪問とデヴィッドの死(The Woman)、ユダヤ人密航者の救出(The Journey)の3章から構成されている。ヘミングウェイ自身をモデルにした主人公のトーマス役は、スティーヴ・マックィーン、ポール・ニューマンやジョン・ウェインにもオファーされたという。フレッド・J・コーネカンプが1977年度アカデミー賞の撮影賞にノミネートされている。

音楽は、フランクリン・J・シャフナー監督と「七月の女」(1963)「猿の惑星」(1968)「パットン大戦車軍団」(1970)「パピヨン」(1973)「(未公開)ブラジルから来た少年」(1978)「(未公開)ライオンハート(Lionheart)」(1987)でも組んでいるジェリー・ゴールドスミスで、これはゴールドスミス自身が様々な機会に自分が一番好きなスコアだと公言していた傑作。「Main Title」は、大波のうねりのようなイントロから、ホルン・ソロによる叙情性豊かで美しいトーマスの主題へと展開するメインタイトル。中盤、舞台となるカリブ海のトロピカル・フレーヴァーを帯びたアレンジに。このメインの主題がスコア全体を通して様々なアレンジメントで登場する。「The Boys Arrive」は、メインの主題を織り込んだ抑制された曲。「Pillow Fight」は、躍動的でサスペンスフルな曲。「Is Ten Too Old?」は、メインの主題のバリエーションからトロピカルなタッチ、後半ゴールドスミスの個性がよく出たサスペンスアクション音楽へと展開する曲。「Night Attack」「The Boys Leave」「The Letter」「How Long Can You Stay」も、メインの主題のバリエーション。「The Marlin」は、デヴィッドがマカジキを釣るシーンでの12分近くにおよぶサスペンスフルでダイナミックな曲で、全編のハイライト。「I Can't Have Him」「The Refugees」は、ややメランコリックなタッチ。「Eddie's Death」は、ダイナミックでビジーなサスペンスアクション音楽。「It Is All True」は、ピアノソロをフィーチャーしたメインの主題のリプライズにより締めくくる。

1986年に米Intradaレーベルからゴールドスミス自身がハンガリー国立交響楽団を指揮した新録音盤(シャフナー監督の「(未公開)ライオンハート」のスコアをハンガリーで録音する際に収録されたもの)がリリースされていたが、この米Film Score MonthlyレーベルのCDはオリジナルのサントラ音源の初CD化で、5,000枚の限定プレス(オリジナル音源は紛失したと考えられていたが、Kriterlandレーベル主宰のブルース・キンメルが1970年代にVarese Sarabandeレーベルでこのスコアのサントラをリリースしようとして用意していた個人所有のマスターテープを今回使用したという)。ファンにとっては待望のリリース。
(2010年2月)
cover
Intrada新録音盤を購入する

Jerry Goldsmith

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2010  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.