ダーティハリー2 MAGNUM FORCE

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

(米Aleph Records / 033)

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1973年製作のアメリカ映画。監督は「奴らを高く吊るせ!」(1968)「続・猿の惑星」(1970)「キャッシュ」(1975)「戦場」(1977)等のテッド・ポスト。出演はクリント・イーストウッド、ハル・ホルブルック、フェルトン・ペリー、ミッチェル・ライアン、デヴィッド・ソウル、ロバート・ユーリック、ティム・マシスン、キップ・ニーヴン、ジョン・ミッチャム、アルバート・ポップウェル、クリスティーン・ホワイト、アデル・ヨシオカ、マーガレット・エイヴリー、スザンヌ・ソマーズ、モーリス・アージェント他。「デリンジャー」(1973)「風とライオン」(1975)「ビッグ・ウェンズデー」(1978)「コナン・ザ・グレート」(1982)「若き勇者たち」(1984)「イントルーダー/怒りの翼」(1990)等の監督を手がけたジョン・ミリアスの原案を基に、「サンダーボルト」(1974)「ディア・ハンター」(1978)「天国の門」(1981)「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985)「シシリアン」(1987)「逃亡者」(1990)等の監督マイケル・チミノとミリアスが脚本を執筆。撮影はフランク・スタンリー。

クリント・イーストウッドがサンフランシスコ市警察のハリー・キャラハン刑事を演じる「ダーティハリー」シリーズの2作目。犯罪組織のボス等、法の目をかいくぐってきた犯罪者たちが次々と何者かに殺されていく。ハリーは、射撃大会で優勝を争ったジョン・デイヴィス巡査(ソウル)と彼の3人の仲間(ユーリック、マシスン、ニーヴン)が、法に代わって私的制裁を行っていることを突き止め、上司のブリッグス警部補(ホルブルック)に報告するが……。監督が1作目のドン・シーゲルからテッド・ポストに代わったことで明らかに演出の切れ味や緊張感が落ちたが、アクションの見せ場が連続するストーリー構成(日本公開時のコピーでは“巨大な12の見せ場”)は「ダイ・ハード」「リーサル・ウェポン」等のノンストップ・アクション映画の原型とも言える。個人的に好きなシーンは、前半でハリーがハイジャック犯を捕らえるためにパイロットに化けてジェット機に乗り込む場面。操縦席で犯人に銃を突きつけられ、しばらくジェット機を動かすふりをするが、いつまでたっても離陸させないので不審に思った副操縦士が「機長、失礼ですがジェット機を操縦した経験は?」と訊くと、「ないよ。生まれてはじめてさ」と平然と答える。「(TV)刑事スタスキー&ハッチ」(1974〜1979)で有名になる前のデヴィッド・ソウルや、「(TV)ベガス」(1978〜1981)「(TV)私立探偵スペンサー」(1985)等のロバート・ユーリックが敵役の白バイ警官チームを演じているが、ユーリックがDVDのインタビューの中で、駆け出しの頃にこの映画で既に大スターだったイーストウッドに世話になったことをとても感激していたのが印象的(ユーリックは2002年に癌で他界している)。

音楽は1作目と同様ラロ・シフリンが作曲しており、彼が得意とするダイナミックなアクション・ジャズ・スコアのベストパターン。スミス&ウェッソン44マグナム拳銃のクローズアップにかぶさる「Main Title」は、不気味なコーラスをフィーチャーしたパワフルなジャズで、1作目のメインタイトルよりワイルドなタッチ。「The Cop」「Magnum Force」「Rogue Gun」「The Faceless Assassin」「Execution Squad」は、白バイ警官たちが犯罪者を処刑していくシーンのサスペンス音楽で、一部メインの主題が登場する。「Harry's Ostinato」は、上述のハイジャック犯逮捕シーンのサスペンス音楽で、1作目の主題を流用。「Stakeout」「The Crooks」は、コンビニでの張り込みシーンのダイナミックなアクション音楽。「Harry's New Friend」「Recreation」「Potrero Hill」はジャズ・ベースのソース音楽だが、映画では未使用。「The Pimp」は、娼婦が黒人ギャングに殺されるシーンのサスペンス音楽。「Palancio」は、1作目の主題を流用したダイナミックなジャズ。「The Bullet」では1作目のセンチメンタルな主題が登場。「Briggs In」は、ダイナミックで威圧的なタッチ。「Confrontation」は、波止場でのクライマックスのサスペンスアクション音楽。「Finale」は、1作目のセンチメンタルな主題で静かに締めくくる。ストレートにシリアスでサスペンスフルだった1作目のスコアに比べると、よりカラフルでユーモアのセンスを感じさせるスコアになっている。これはラロ・シフリン自身のAlephレーベルが2005年にリリースしたコンプリート・スコア初CD化。
(2005年7月)

Lalo Schifrin

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