ハリー・ポッターと賢者の石   HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

(独Warner Sunset / 7567-93086-2)

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世界的なベストセラーとなったJ・K・ローリング原作の児童文学『ハリー・ポッター』シリーズの映画化。監督は「グレムリン」「ホーム・アローン」等のクリス・コロンバス。出演はダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、リチャード・ハリス、マギー・スミス、アラン・リックマン、イアン・ハート、ロビー・コルトレーン、リチャード・グリフィス、フィオナ・ショウ、ジョン・クリーズ、テレンス・ベイラー、ショーン・ビガースタッフ、デヴィッド・ブラッドレー、リチャード・ブレマー、ワーウィック・デイヴィス、アルフィー・イノック、トム・フェルトン、サイモン・フィッシャー=ベッカー、ジョシュア・ハードマン、ジョン・ハート、レスリー・フィリップス他。脚本はスティーヴン・クローヴス、撮影はジョン・シールが担当。

両親の死後、親戚の家に預けたれたハリー・ポッターが11歳の誕生日に受け取った一通の手紙は、ホグワーツ魔法魔術学校への入学許可証だった。学校へとたどり着いたハリーは、さっそく魔法使いになるための勉強を始め、ロンとハーマイオニーという友だちもできるが、やがて彼は学校の驚くべき秘密に気づくのだった・・。この映画の製作会社ワーナー・ブラザースは、原作が記録的なベストセラーになる前に映画化権を破格の70万ドルで手に入れたという。原作者のローリングは映画化の際のアドバイザーとして雇われると共に、映画の収益の一部を受け取る権利を取得した(いわゆる“グロス・パーティシペーション契約”)。キャストの内、ハリス、スミス、リックマン、コルトレーンといった大人のキャラクターは全て原作者のローリングの指名通りの配役だという。監督には、スティーヴン・スピルバーグが一時期興味を示していたが、彼はこの原作をフルCGIで映画化し、主人公の声をハーレイ・ジョエル・オスメントに演じさせるつもりだったらしい。

音楽はクリス・コロンバスとは「ホーム・アローン」等でも組んでいるジョン・ウィリアムス。最近の彼のスコア中でも最も“センス・オブ・ワンダー”を感じさせるスケールの大きいシンフォニックスコアを73分以上にわたり展開している。冒頭の「Prologue」で静かに演奏されるミステリアスなタッチの主題(少し「イーストウィックの魔女たち」や「ホーム・アローン」に似ている)が全編を通じて登場する(「The Arrival of Baby Harry」「Visit to the Zoo and Letters from Hogwarts」「Platform Nine-and-Three-Quarters and the Journey to Hogwarts」等)が、この曲はラストの「Hedwig's Theme」で最も明確な形で演奏される。2曲目の「Harry's Wondrous World」は前半のハイライトで、躍動的でファンタスティックなオーケストラルスコアがカラフルに展開する。「Hogwarts Forever! and The Moving Stairs」の前半での英国調の少しおどけたマーチも面白い。「The Quidditch Match」はヒロイックなタッチのイントロダクションからダイナミックなアクションスコアへと展開する8分以上の力作。「The Chess Game」での「インディ・ジョーンズ」風のダークでサスペンスフルなマーチや、「The Face of Voldemort」での重厚なアクションスコアも良い。「Leaving Hogwarts」の後半も感動的に盛り上がる。ウィリアムスが「スター・ウォーズ エピソード1」以来最もケレン味たっぷりにフルパワー、フルエモーションで書いたスコアで、ファンとしては実に面白い。

尚、このCDは欧州プレス盤で、音楽CDとは別にビデオゲームのブレビューや予告編映像、壁紙等を収録したCD-ROMが付いた2枚組となっている(アメリカ盤は音楽CDのみ)。
(2001年11月)

John Williams

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