ブライアン・イースデイル
 Brian Easdale

Date of Birth: 1909/8/10
Place of Birth: Manchester, England, UK
Date of Death: 1995/10/30
Mini Biography:
Brian Easdale started improvising at the piano from the age of five. On the advice of the future Master of the King's Musick, Sir Henry Walford Davies, he became, from the age of ten, a probationer at the Temple Church, in the City of London, under the legendary George Thalben-Ball. In 1920 he moved to Westminster Abbey, and enrolled in the Junior Department of the Royal College of Music. As a student proper of the College from 1925 to 1933, he studied composition with Cecil Armstrong Gibbs and Gordon Jacob, conducting with Malcolm Sargent, and organ with Arnold Goldsborough. He won a number of prizes while there, including the coveted Cobbett Prize for composition. For the next couple of years, until 1935, he travelled Europe, attending opera in particular, and meeting composers and conductors. As a jobbing musician in these years he undertook projects arranging music for publishers, most notably several works by Benjamin Britten, including the "Soirees musicales,op.9" and "Piano Concerto,Op.13", in versions for two pianos. He orchestrated Britten's "On the Frontier" (an Auden - Isherwood collaboration) for a production at the Arts Theatre in Cambridge in 1939. He spent much of the war in Ceylon and India working on documentaries for their governments' film units. Returning to Britain in 1946, he was invited by the Archers (Michael Powell and Emeric Pressburger) to write an exotic dance for Jean Simmons to perform in their forthcoming film, "Black Narcissus", but ended up instead composing the whole score, which finally launched his career proper. For the 1949 Aldeburgh Festival, Britten commissioned a work for chamber orchestra, to which Easdale responded with "Bengal River", and the Archers engaged him for further projects, culminating in "Peeping Tom" in 1959, which ostensibly killed Powell's career at a stroke. Easdale never scaled such professional heights again, despite the occasional documentary, radio play, and incidental music for Stratford and the Old Vic. He had a long struggle with alcohol and spent his final years in a care home in Kilburn, where he died on 30 October 1995. However, he continued to work, and taught orchestration to a composer/arranger while at the care home almost to the end. His output extended well beyond film music to cover most genres - orchestral pieces, concertos, choral works (including "Missa coventrensis", a Mass for the new Coventy Catheral), and chamber compositions. At the end of his life, he was planning some kind of multi-media work based on de Quincey's "Confessions of an English Opium Eater". In 1994, he presented a screening of "The Red Shoes" at the National Film Theatre and Michael Kamen arranged for him to present an award for best film music at the Ivor Novello Awards that year.

 


ブライアン・イースデイル映画音楽集  THE FILM MUSIC OF BRIAN EASDALE

作曲:ブライアン・イースデイル
Composed by BRIAN EASDALE

指揮:ラモン・ガンバ
Conducted by RUMON GAMBA

演奏:BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団・合唱団
Performed by BBC National Orchestra and Chorus of Wales

(英Chandos / Chan 10636)

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<収録曲>

1. 赤い靴 The Red Shoes
2. (未公開)Kew Gardens
3. 黒水仙 Black Narcissus
4. 戦艦シュペー号の最後 The Battle of the River Plate
5. (未公開)Adventure On!
6. 女狐 Gone to Earth

 

「赤い靴」(1948)のスコアでイギリス人としてはじめてアカデミー賞の音楽賞を受賞した作曲家ブライアン・イースデイル(1909〜1995)が、「老兵は死なず」(1943)「渦巻」(1945)「天国への階段」(1946)「快傑紅はこべ」(1950)「ホフマン物語」(1951)「美わしのロザリンダ」(1956)「将軍月光に消ゆ」(1956)等で知られるマイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督と組んだ作品を中心に集めた新録音コンピレーション。

1. 赤い靴 The Red Shoes - Ballet

1948年製作のイギリス映画(日本初公開は1950年3月)。監督・脚本はマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー。出演はモイラ・シアラー、アントン・ウォルブルック、マリウス・ゴーリング、ロバート・ヘルプマン、アルバート・バッサーマン、リュドミラ・チェリナ他。ハンス・アンデルセンの童話を基にプレスバーガーが書き下した原案にキース・ウィンターが台詞を付加。撮影はジャック・カーディフ。ロンドンのバレエ団と契約した社交界の令嬢ヴィキー・ペイジ(シアラー)は、団長のボリス・レルモントフ(ウォルブルック)にその才能を見いだされてバレエ劇『赤い靴』に出演し、一躍スターとして認められる。やがて彼女は、バレエの音楽を手がけた青年作曲家ジュリアン・クラスター(ゴーリング)に恋するようになる……。1948年度アカデミー賞の原案賞、編集賞にノミネートされ、劇・喜劇映画音楽賞、美術(監督)賞/カラー、美術(装置)賞を受賞しているほか、同年のゴールデン・グローブの音楽賞を受賞。当初は「天国への階段」等のアラン・グレイがスコアを担当することになっていたが、この作品にふさわしくないと考えた監督がイースデイルに作曲を依頼し、これは彼の代表作となった。ここでは8曲から成るバレエ『赤い靴』を収録。ジェントルなイントロから快活に盛り上がる「Allegro vivace」、躍動的な「Allegro moderato e molto ritmico」「Poco piu mosso」、静かな「Lento tranquillo」シンシア・ミラー演奏のオンドマルトノを織り込んだサスペンスフルな「Largo」、ドラマティックな「Presto, quasi cadenza」「Allegro assai」「Sostenuto」と展開。尚、映画でのバレエ『赤い靴』の場面はトマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団により演奏された。

2. (未公開)Kew Gardens - Suite for Chamber Orchestra

1936年製作のイギリスのドキュメンタリー映画。製作・監督はハロルド・ローウェンステインと、後に「戦う翼」(1962)「(TV)恐怖のレストラン」(1973)「(TV)ツタンカーメンの呪い」(1980)等を手がけるフィリップ・リーコック。ロンドン南西部のキューにある王立植物園キューガーデン(Royal Botanic Gardens at Kew)を題材にした作品。4曲から成る室内楽用の組曲を収録。「Introduction and Allegretto」は、躍動的なイントロから静かな主題へ。「Spring Flowers」「Summer Sequence」「Finale」は、明るくジェントルな曲。

3. 黒水仙 Black Narcissus - Suite for Chorus and Orchestra

1946年製作のイギリス映画(日本初公開は1951年3月)。製作・監督・脚本はマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー。出演はデボラ・カー、サブー、フローラ・ロブソン、ジーン・シモンズ、ジュディス・ファース、ジェニー・レアード、キャスリーン・バイロン、デヴィッド・ファーラー他。原作はルーマー・ゴッデン、撮影はジャック・カーディフ。ヒマラヤ山麓に近い高地にある宮殿モプの領主トゥダ・ライは、この宮殿に尼僧院を開いて英国人の尼僧たちを招き、現地の子どもを教育してもらおうと考えた。尼僧クローダー(カー)は4人の同僚を引き連れて現地に赴任するが……。1947年アカデミー賞の撮影賞(カラー)と美術(監督)賞/カラーを受賞。イースデイルは当初ジーン・シモンズが劇中で踊るダンス曲のみを依頼されたが、結果的にはスコア全体を作曲した。ここでは5曲から成る組曲を収録。「Main Titles and the Palace of Mopu」は、明るく快活なメインタイトル。「Irish Song」は、幻想的なコーラス曲。「Sister Ruth and Mr Dean」は、ジェントルな主題。「Hunting Song」は、勇壮な男声コーラス曲。「Death of Sister Ruth」は、コーラスを織り込んだダイナミックな曲。

4. 戦艦シュペー号の最後 The Battle of the River Plate - Prelude and March

1956年製作のイギリス映画(日本初公開は1957年1月)。製作・監督・脚本はマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー。出演はピーター・フィンチ、アンソニー・クエイル、ジョン・グレッグソン、イアン・ハンター、ジャック・グイリム、バーナード・リー、アンソニー・ブシェル、ピーター・イリング、マイケル・グッドリーフ、パトリック・マクニー、ダグラス・ウィルマー、ウィリアム・スクワイアー、ロジャー・デルガド、クリストファー・リー他。撮影はクリストファー・チャリス。第二次大戦中のドイツ戦艦グラフ・シュペー号の自爆という悲壮な事件を、史実に基づいて描くドラマ。ラングスドルフ艦長(フィンチ)指揮するシュペー号は、ポルトガル領東アフリカ沖で英貨物船アフリカ・シェル号を撃沈し、船員たちを捕虜にする。その後も英商船を相次いで撃沈し、捕虜の数は50名を越えた。イギリス海軍のハーウッド提督(クェイル)は、南米ウルグアイの首都モンテヴィデオを河口とするプレート河沖で巡洋艦アジャクス号、アキレス号、エグゼター号の3隻によりシュペー号を挾み討ちにしようとするが……。1956年度英国アカデミー賞の作品賞(総合)、作品賞(国内)、脚本賞にノミネートされている。ダイナミックでヒロイックな「Prelude」と、格調高いマーチ「March」を収録。

5. (未公開)Adventure On! - Suite

1957年製作のイギリスのドキュメンタリー映画。監督はトム・ストバート。トラクターの製造メーカーであるマッセイ・ファーガソン社が自社製品のプロモーション用に製作した映画。ここでは、イースデイルがこのスコアを著名なイギリスの指揮者サー・ジョン・バルビローリハレ管弦楽団用に編曲した“A musical progress”を収録(但し、この曲がバルビローリ指揮ハレ管によって演奏されたとの記録はないという)。「Prelude and Pastorale」は、明るく快活な曲。「Intermezzo and Dance (Africa)」は、ダイナミックかつ躍動的で大らかな曲。「Barcarolle and Sultan's Fanfare (Aden)」は、静かで牧歌的な主題から後半はダイナミックな主題へ。「Pastorale and Lullaby (India)」は、静かにジェントルな曲。「Finale Progress (Malaya to Fiji)」は、ダイナミックで躍動的な曲。

6. 女狐 Gone to Earth - Suite for Chorus and Orchestra

1950年製作のイギリス映画(日本初公開は1952年11月)。製作・監督・脚本はマイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー。出演はジェニファー・ジョーンズ、デヴィッド・ファーラー、シリル・キューザック、エズモンド・ナイト、シビル・ソーンダイク、ヒュー・グリフィス、エドワード・チャップマン他。デヴィッド・O・セルズニックアレクサンダー・コルダという米英の大物プロデューサーが製作総指揮を共同で担当。原作はメアリー・ウェップ、撮影はクリストファー・チャリス。イングランドのシュロップシャー州山奥に父親と暮らすヘイズル・ウッダス(ジョーンズ)は、ジプシーだった亡き母の血を享けた娘で、“フォクシー”と呼ぶ雌狐をなによりも可愛がっていた。彼女を慕う地主の青年レディン(ファーラー)は、ヘイズルを強引に恋人にしようとするが失敗。一方、新任の牧師エドワード(キューザック)も彼女に魅かれ、肉体の関係を求めないことを条件に結婚を承諾させるが……。主演のジェニファー・ジョーンズは当時セルズニックの妻だったが、彼女の出番が少ないと感じたセルズニックは「快傑ゾロ」(1940)「血と砂」(1941)「絹の靴下」(1957)等のルーベン・マムーリアン監督に追加シーンを撮影させ、全体を編集し直して1952年に「The Wild Heart」としてアメリカで再公開した。イースデイルのスコアは、1950年度ヴェネチア国際映画祭の音楽賞を受賞している。ここでは7曲成る組曲を収録。「Titles」は、コーラスを織り込んだダイナミックで躍動的なメインタイトル。「The Hunt of the Death Pack」もダイナミックな曲。「The Prayer」は、静かな曲。「The Shropshire County Fair」は、ヒロイックで躍動的。「Hunter's Spinney」は、静かなイントロからドラマティックに盛り上がる。「Undern Morning」は、ジェントルな曲。「Finale」は、ヴァイオリン・ソロとコーラスを織り込んだサスペンスフルなタッチ。

ブライアン・イースデイルは映画、舞台、ラジオドラマ、ドキュメンタリー等のスコアの他に管弦楽曲、協奏曲、合唱曲、室内楽曲等の純音楽も作曲している。晩年はアルコール依存症の治療のためにキルバーンのケアホームで暮らしたが、死ぬ直前まで作曲家の生徒にオーケストレーションの指導を続けたという。

ブライアン・イースデイルが手がけた作品には「(未公開)The HPO - Heavenly Post Office」(1938)「黒水仙(Black Narcissus)」(1947)「赤い靴(The Red Shoes)」(1948)「(未公開)The Small Back Room, aka Hour of Glory」(1949)「女狐(Gone to Earth, aka The Wild Heart)」(1950)「快傑紅はこべ(The Elusive Pimpernel, aka The Fighting Pimpernel)」(1950)「文化果つるところ(Outcast of the Islands)」(1952)「(未公開)The Wild Heart」(1952)「(未公開)The Green Scarf」(1954)「戦艦シュペー号の最後(The Battle of the River Plate)」(1956)「(未公開)Miracle in Soho」(1957)「血を吸うカメラ(Peeping Tom)」(1960)「(未公開)The Queen's Guards」(1961)「(未公開)Happy Deathday」(1968)「(未公開)Return to the Edge of the World」(1978)等がある。
ブライアン・イースデイルは1948年の「赤い靴」でアカデミー賞の劇・喜劇映画音楽賞とゴールデン・グローブを音楽賞、1950年の「女狐」でヴェネチア国際映画祭の音楽賞を受賞している。
(2011年6月)

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