アレクサンドル・アザリ ア(レプリカント)
 Alexandre Azaria (a.k.a Replicant)

Date of Birth: 1967/9/3
Place of Birth: France
Mini Biography:
Upon leaving the high school, Alexandre Azaria, alias Replicant, worked at the music library under his father, a director of Radio France. Between 1988 and 1992, he released two albums with "Le Cri de la mouche", 70's rock band in which he was a guitarist. Fascinated by the film music of 60's, he analyzed the works by his mentors, John Barry, Lalo Schifrin and Ennio Morricone, learning with determination to arrange the instrumental textures as well as the formation of the sounds and harmonies, before realizing his first compositions. In 1999, he composed his first orchestral score for the feature film titled "Comme un poisson hors de l'eau", directed by Herve Hadmar, starring Tcheky Karyo and Monica Bellucci. He also composed music for Vincent Perez's "Peau d'ange", and Francois Desagnat's "La beuze".

 


花咲ける騎士道 FANFAN LA TULIPE

作曲:アレクサンドル・アザリア
Composed by ALEXANDRE AZARIA

指揮:マリー=ジャンヌ・セレロ
Conducted by MARIE-JEANNE SERERO

(仏Europacorp / 7243 5 84502 2 4)

リュック・ベッソン率いるEuropaCorp製作のフランス映画で、2003年度カンヌ国際映画祭の公式オープニング作品として5月14日に上映され、同時にフランス国内でも公開された作品(日本公開は2004年6月予定)。監督は「TAXiA」「WASABI」「TAXiB」等ベッソン・プロデュース作品の常連ジェラール・クラヴジック。出演はヴァンサン・ペレーズ、ペネロペ・クルス、ディディエ・ブルドン、エレーヌ・ドゥ・フジュロール、ミシェル・ミューラー、フィリップ・ドルモイ、ジャック・フランツ、ジェラルド・ラロッシュ、ギヨーム・ガイエンヌ、ジャン=ポル・デュボワ、ジル・アルボナ、ジャン=フランソワ・ラパリュス、イヴ・ピニョット、フランソワ・シャトー、ジャック・ディナム、マグダレーナ・ミュールカール、アンナ・マジェール他。脚本はリュック・ベッソンとジャン・コスモ、製作はベッソンとミシェル・フェレ、撮影はジェラール・シモン。天性の女たらしで剣の達人、ファンファン・ラ・チューリップ(ペレーズ)の活躍を描いたコスチューム・プレイで、クリスチャン=ジャック監督/ジェラール・フィリップ、ジーナ・ロロブリジーダ主演のクラシック「花咲ける騎士道」のリメイク。監督がクラヴジックなのでコミカルなタッチのアドベンチャーとなっており、見終わって晴々とした気分になる娯楽作品。

音楽はアレクサンドル・アザリア。メジャーな作品のスコアを単独で担当するのはおそらくこれが初めてであろうが、これがジャン=クロード・プティの「(未公開)新・三銃士/華麗なる勇者の冒険」や、マイケル・ケイメンの「ロビン・フッド」等に通ずる痛快冒険活劇調シンフォニック・スコアでなかなかの拾い物。冒頭の「Fanfan la tulipe」はフル・オーケストラによる豪快でヒロイックなメインタイトル。アレンジにあまり工夫がなくやや単調なのが惜しいが、それでもかなり燃える。「Adeline」はヒロインのアドリーヌ(クルス)のテーマで、スペイン人のジプシー女の役柄のせいかギターをフィーチャーしたメランコリックなタッチ。「Les foins」はコミカルなタッチからダイナミックなアクション音楽へ。「L'attaque du carrousse」は、ポンパドール夫人達の乗った馬車を悪党一味が襲撃し、ファンファンが単身一味と戦うシーンのアクション音楽。「Adeline / Fanfan」はジェントルでリリカルなタッチ。「La Pompadour」はポンパドール夫人(フジュロール)のテーマで、バロック調。「L'eglise」は激しい活劇調。「L'guerre」は戦闘シーンを描いた勇壮な音楽。「Sauver Adeline」ではメインの主題が顔を出す。「L'entrainment」は軍隊での特訓を描写したコミカルなタッチのスコア。「Fanfan vs Fier-a-bras」はファンファンと彼を目の敵にする上官(ドルモイ)との決闘シーンの音楽。「La revelation」は後半ドラマティックに盛り上がる。「Generique fin」はメインの主題のリプライズによる痛快なエンディング。映画でもラストシーンからエンドクレジットに入る部分は音楽が実にかっこいい。ラストに挿入歌「Mon coeur est un desert」が収録されている。

アレクサンドル・アザリアはフランスの若手作曲家で、作品によってはレプリカント(Replicant)という別名でもクレジットされている。映画音楽の仕事は「 (未公開)ライク・ア・フィッシュ(Comme un poisson hors de l'eau)」(1999)「(未公開)La malediction de la mamie」(2000)「(未公開)La beuze」(2003)等があるが、EuropaCorp製作作品では今回の「花咲ける騎士道」以前にもヴァンサン・ペレーズ監督/ギヨーム・ドパルデュー主演の「天使の肌」(2002)と、ルイ・レテリエ監督/ジェイスン・ステイサム主演の「トランスポーター」(2002)のスコアの一部を手がけている。
(2003年5月)

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(未公開)アステリックスとヴァイキング ASTERIX ET LES VIKINGS

作曲:アレクサンドル・アザリア
Composed by ALEXANDRE AZARIA

指揮:ジゼル・ジェラール=トリーニ
Conducted by GISELE GERARD-TOLINI

(仏Sony&BGM / 82876806822)

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2006年製作のフランス映画。ルネ・ゴシニーアルベール・ウデルゾ原作の『アステリックスとオベリックス』という人気コミックを基にしたアニメーション映画で、監督はステファン・フジェルドマルクジェスペール・モレール。声の出演はロジェ・カレル、ロラン・ドゥッチュ、サラ・フォレスティエ、ジャック・フランツ、ピエール・パルマード、ピエール・チェルニア、ベルナール・アラーヌ、マルク・アルフォス、ジュール・アゼム、パトリック・ボルグ、フィリップ・カトワール、ブリューノ・デュベルナ、リュック・フロリアン、ステファン・フォルロー、マリオン・ガム他。脚本はジャン=リュック・グーサンとステファン・フジェルドマルク。同じコミックをベースにした実写映画「ミッション・クレオパトラ(ASTERIX & OBELIX: MISSION CLEOPATRE)」も2002年に製作されている(監督:アラン・シャバ/出演:ジェラール・ドパルデュー、モニカ・ベルッチ、クリスチャン・クラヴィエ、ジャメル・ドゥブーズ)。

音楽は「花咲ける騎士道」「トランスポーター2」等のアレクサンドル・アザリアで、ここではアニメーション映画らしいカラフルなオーケストラル・スコアを展開。「Ouverture」は、静かなイントロからマーチ調のヒロイックな主題へと展開する序曲。「Deltaplanix」は大らかなタッチ。「Les vikings」は、ストイックな曲。「Abba / Goudurix」は、ジェントルなタッチから後半ヒロイックに。「Les drakkars」はダイナミックな曲。「Le chagrin d'Obelix」はリリカル。「L'etoile du nord」はマーチ調のサスペンス曲。「Champion de la peur」「Ils arrivent」「Dans les griffes d'Olaf」等は、ビジーなアクションスコア。「Pret a voler」はサスペンス調。「Fiere de toi」はヒロイックな曲。ラストの「La danse du village」は、なぜかケルト風舞踏音楽。あまり印象的な主題は登場しないが、手堅い仕上がりのスコア。全21曲中、14曲がアザリア作曲のスコアで、セリーヌ・ディオンがフランス語で歌う「Tous Les Secrets」等の挿入歌が7曲収録されている。
(2006年8月)

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(未公開)L'AUBERGE ROUGE

作曲:アレクサンドル・アザリア
Composed by ALEXANDRE AZARIA

指揮:ジゼル・ジェラール=トリーニ
Conducted by GISELE GERARD-TOLINI

演奏:レ・ザルシェ・ドゥ・パリ
Performed by Les Archets de Paris

(仏Milan / 399 171-2)

2007年製作のフランス映画。監督は「WASABI」(2001)「花咲ける騎士道」(2003)「TAXiB」(2003)「TAXiC」(2007)等のジェラール・クラヴジック。出演はクリスチャン・クラヴィエ、ジョジアーヌ・バラスコ、ジェラール・ジュニョ、ジャン=パプティスト・モーニエ、シルヴィー・ジョリー、アンヌ・ジルアール、ウールベーン・カンセリエ、フランソワ=グザヴィエ・ドゥメゾン、ジャン=クリストフ・ブーヴェ、ローラン・ガメロン、クリスチャン・ビュジョー他。ジャン・オーランシュとピエール・ボストの原案を基にクリスチャン・クラヴィエとミシェル・デルガードが脚本を執筆。撮影はジェラール・ステラン。19世紀末期のフランス、ピレネー山脈の山中でピエール(クラヴィエ)とロゼ(バラスコ)が営む怪しい宿屋“オーベルジュ・デュ・クルートー”を舞台にした犯罪コメディ(オーベルジュはレストランとホテルが一緒になった宿屋のこと)。

音楽はジェラール・クラヴジック監督の「花咲ける騎士道」や、「天使の肌」「トランスポーター」「トランスポーター2」等のヨーロッパ・コープ作品を手がけているフランスの新鋭アレクサンドル・アザリア(因みに、この映画の編集のニコラ・トレンバジウィックやプロダクションデザインのジャック・ビュッフノワール、衣装のオリヴィエ・ベリオ等も“ヨーロッパ・コープ組”)。「L'auberge rouge」は、オーケストラとコーラスによるファンタジー調のメインタイトル。この冒頭の曲から明らかだが、スコア全体を通してダニー・エルフマンをかなり意識している。「Frere et soeur」は、女声ヴォーカルとオーケストラによるミステリアスな曲。「Perdu dans la nuit」「Confession」「Le montreur d'ours」「Disparu」等は、サスペンス音楽。「Arrivee a l'auberge」は、オーケストラとコーラスによるミステリアスなタッチ。「Super violet」「La diligence」「Pere Camus」「La dentelle」「Violet attaque」等は、ダイナミックなアクション音楽を含む曲。「Le pont」は、コミカルなタッチ。「L'auberge rouge (fin)」は、ミステリアスなコーラスによるエンディング。これまでのアザリアのスコアと同様、オーケストラによる劇伴に徹したスコアで、最近のフランスの作曲家には珍しい存在だろう。演奏を担当している「Les Archets de Paris」は、パリ国立歌劇管弦楽団とフランス国立管弦楽団のメンバーをベースに1992年に設立されたオーケストラ+合唱団。

アレクサンドル・アザリアが手がけた作品には「(未公開)That's All Folks」(1983)「(未公開)ライク・ア・フィッシュ(Comme un poisson hors de l'eau)」(1999)「(未公開)La malediction de la mamie」(2000)「(未公開/TV)Les feux de la rampe」(2001)「トランスポーター(Le transporteur)」(2002)「天使の肌(Peau d'ange)」(2002)「(未公開)La beuze」(2003)「花咲ける騎士道(Fanfan la tulipe)」(2003)「(未公開)A ton image」(2004)「(未公開)Les Dalton」(2004)「トランスポーター2(Le transporteur II)」(2005)「(未公開)La vie est a nous!」(2005)「(未公開)アステリックスとヴァイキング(Asterix et les Vikings)」(2006)「(未公開)Love and Other Disasters」(2006)「(未公開)L'auberge rouge」(2007)「(未公開)Sans arme, ni haine, ni violence」(2008)「(未公開)15 ans et demi」(2008)「トランスポーター3 アンリミテッド(Le transporteur 3)」(2008)「(未公開)Le missionnaire」(2008)等がある。
(2008年1月)
(2008年12月追記)

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