ロナルド・スタイン
 Ronald Stein

Date of Birth: 1930/4/12
Place of Birth: St. Louis, Missouri, USA
Date of Death: 1988/8/15
Mini Biography:
Stein was educated at Washington University (BA), the Yale School of Music, and at USC. In college, he wrote musical shows. He was named the assistant musical director for the St. Louis Municipal Opera in 1950, 1951, and 1954. He served in the Special Services at Fort Dix, NJ from 1952 to 1954. Returning home, he became the piano soloist for the St. Louis Symphony Orchestra in 1955. From that year to 1959 he was the music director of American International Pictures, and in 1964 became the associate musical director for Phoenix Star. He joined ASCAP in 1956, and his popular compositions include "Raymie", "Mexico City", "Romantic Idyll", and "The Garden", plus the film themes for "Dime With a Halo", "The Littlest Hobo", and "Of Love and Desire".

 


怪談呪いの霊魂  THE HAUNTED PALACE

姦婦の生き埋葬  THE PREMATURE BURIAL

作曲・指揮:ロナルド・スタイン
Composed and Conducted by RONALD STEIN

(米Percepto / Percept-002) 2000

“B級映画の帝王”ロジャー・コーマン製作・監督のホラー映画2作品にロナルド・スタインが作曲したスコア。

『怪談呪いの霊魂(THE HAUNTED PALACE)』は1963年製作で、主演はホラー映画のベテラン、ヴィンセント・プライスロン・チェイニー・Jr。共演はデブラ・パジェット、レオ・ゴードン、フランク・マクスウェル、イライジャ・クック、キャシー・マーチャント他。伝説的な怪奇小説作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの原作「The Strange Case of Charles Dexter Ward」を基にチャールズ・ボーモントが脚本を執筆。撮影はフロイド・クロスビー。ニューイングランドの小村アーカムに、たび重なる残虐な行為で村人の怒りを買い、火あぶりになった領主がいた。時がたち、領主の子孫であるウォード(プライス)が先祖の屋敷に移り住んでくるが、彼は先祖の呪力を受けて変貌し、村人たちに復讐していく・・。原作は上述の通りラヴクラフトだが、主演のヴィンセント・プライスが当時ロジャー・コーマン監督によるエドガー・アラン・ポー原作の一連のホラー映画で有名だったため、そのイメージを継承するために映画のクレジット上は「エドガー・アラン・ポー原作」と表記されている。苦肉の策として、プライスは映画のエンドクレジットでポーの詩の一部を朗読し、かろうじて映画とポーとを関係付けている。

『姦婦の生き埋葬(THE PREMATURE BURIAL)』は1962年製作で、出演はレイ・ミランド、ヘイゼル・コート、リチャード・ネイ、ヘザー・エンジェル、アラン・ネイピア、ディック・ミラー、ブレンダン・ディロン他。エドガー・アラン・ポーの原作(生きたまま埋葬されてしまい、徐々に窒息死することの恐怖を綴ったエッセイのような小説)を基にチャールズ・ボーモントレイ・ラッセルが脚本を執筆(ボーモントとラッセルはいずれも著名なホラー/ファンタジー作家である)。撮影はフロイド・クロスビー。19世紀のロンドン。恩師の娘メアリーと結婚したガイ(ミランド)は、自分の父親が生きたまま埋葬されたことがトラウマとなっており、自分自身が埋葬後に息を吹き返した場合を心配して、納骨堂に特殊な仕掛けを作っていた。やがてガイは持病の心臓発作で死ぬが、棺桶で復活し、納骨堂を抜け出す。自分の発作の原因を作ったのが財産目当てのメアリーだと知った彼は、妻を生きたまま埋葬して復讐する・・。

ロナルド・スタインがこれらの映画に作曲したスコアは、オーケストラによる非常にオーソドックスなゴシック・ホラー音楽だが、『怪談呪いの霊魂』のメインタイトルでの悲劇的なトーンのワルツが印象的。劇伴音楽は「Arkham」「People of Arkham / Beautiful Zombie / Evil Portrait」等の陰鬱で不吉なタッチや「Vicious Ward / Mutant Circle」でのやや仰々しいショック音楽等、手法としてはきわめて古風だが効果的。『姦婦の生き埋葬』では、もともと陽気な歌詞がついている古い船乗りの唄「Molly Malone」がメインの主題のモチーフとして使われ、スコア全体にアイロニカルなタッチを加えている。こちらも全体としてはドラマティックな主題とダークな劇伴音楽の組み合わせによるオーソドックスなホラー音楽となっている。ロジャー・コーマン作品の常として、予算が非常に限られていたため、スタインはドイツのスタジオでミュンヘン交響楽団のメンバーを雇ってスコアのレコーディングを行った。スタインは低予算のホラー/ファンタジー映画の音楽を多数手がけているが、少ない予算でできるだけリッチな響きがするオーケストラ音楽を書き、映画のチープさを補完するテクニックの名手といえる(だから低予算映画で重宝されるのだが・・)。

ロナルド・スタインが手がけたその他の作品には、「荒野の待伏せ」(1955)「原子怪獣と裸女」(1955)「金星人地球を征服」(1956)「怪物の女性/海獣の霊を呼ぶ女」(1956)「悪魔と魔女の世界」(1956)「暗闇の悪魔・大頭人の襲来」(1957)「妖怪巨大女」(1958)「鉛の弾丸をぶちかませ」(1958)「拳銃に泣くトム・ドーリイ」(1959)「戦車軍団撃滅」(1960)「最後の海底巨獣」(1960)「第八高地突撃隊」(1961)「ディメンシャ13」(1963)「古城の亡霊」(1963)「ガンファイターの挽歌」(1965)「ジャック・ニコルソンの 嵐の青春」 (1967)「雨のなかの女」(1969)「…YOU…」(1970)等がある。彼は1955年から1959年の間、ロジャー・コーマンが多数の低予算映画を製作した映画スタジオAIP(American International Pictures)の音楽監督を務めた。
(2003年1月)

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